マイホーム購入でまず悩むのは「戸建てかマンションのどちらを選ぶの?」という点ではないでしょうか。
世代によってはマイホームといえば一戸建て、マンションやアパートなどの集合住宅は若いころの仮住まい、という意識をお持ちの方もまだまだいらっしゃるかもしれません。
しかし、マンションにはマンションならではのメリットが数多くあります。
そしてメリットがあればデメリットもあるものです。
マンションのメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。
今回はマイホームの購入という視点から、マンションのメリット・デメリットをご紹介していきます。
マンションのメリットとデメリットについて
まずはマンションのメリットを考えてみましょう。
暮らしやすさ、資産価値、購入コストやランニングコスト、さまざまな観点から総合的にみると、次のようなメリットが挙げられます。
●立地が良い
●セキュリティが良い
●共用部の設備や施設が整っている
●ワンフロアで高齢者でも暮らしやすい
●気密性・断熱性が高い
●眺望や採光が良い
●耐用年数が長い
●将来売却がしやすい
●維持管理の負担が少ない
立地が良い
生活は住まいの中だけで完結するわけではありません。
仕事や学校、買い物、趣味、休日のお出かけなど、わたしたちは住まいの外でもさまざまな活動をしています。職場までアクセスがいい最寄り駅に特急や急行が停車する、学校や保育園、病院が近くにある、スーパーやコンビニが多い、このように立地が良いと生活の利便性が向上します。
一般的な傾向として、マンションは都市部や駅近の物件も多く、好立地の住まいを手に入れやすいといえます。
実際に立地を理由としてマンションを選択する人も多いです。
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、マンション購入者の6割から7割の人が「立地環境が良かったから」という理由でマンションを選んだと回答。
一戸建てに比べると、立地を理由にした割合が1~2割ほど高くなっています。
立地条件のいい地域は地価も高くなるため、専有する土地が広い一戸建てに比べると、マンションは割安な価格で購入することができます。
また都市部は防耐火の制限なども厳しく、木造の一戸建てがNGな地域もあります。
そもそも「好立地で一戸建て」という条件を満たすのは、ハードルが高いのです。
セキュリティが良い
共用部の防犯カメラやオートロックなど、初めから適切な対策が取られており、
防犯性が高い物件が多いのは、マンションならではのメリットでしょう。
管理者が常駐していて、共用玄関(エントランス)から入ってくる人を監視していたり、夜間の見回りを行ったりしている物件も存在します。
また警備会社と契約して、24時間の警備体制を敷いているマンションも増えています。
姿を見られたくない侵入者にとっては居心地が悪いでしょうが、住民の立場からすれば安心感がありますね。
また、モニター付きのインターフォンや宅配ボックスなども近年普及しており、これらの設備は利便性を高めると同時に、防犯性の向上に一役買っています。
住民に紛れたり、宅配業者を装って侵入してくる不審者を完全に防ぐことは不可能ですが、これらの設備があれば、不用意にドアを開けて危険に遭遇してしまうリスクを減らすことにつながります。
さらに、中・高層階の部屋なら、外から侵入することは難しくなるので、空き巣にも狙われにくくなります。建物の造り自体が、一種のセキュリティにもなっているというわけですね。
もちろん一戸建てであっても、防犯カメラを付けたり、セキュリティシステムを導入したりすることは可能ですが、その分の費用を別途自己負担しなくてはいけません。
共用の施設・設備がある
マンションには、住民が利用できる共用の施設や設備が備わっています。
便利な共用施設・設備の代表格といえば、まずは敷地内のゴミ捨て場でしょう。24時間いつでもゴミを出すことができ、朝忙しいとき、あるいは雨の日にわざわざ外まで持っていく必要がない、収集日まで部屋の中に貯めざるをえず、不衛生で邪魔になる……といったこともなくなります。
先ほど、防犯のところで取り上げた宅配ボックスも、生活の利便性を高めてくれます。
ほかにも「ゲストルーム」も、マンション特有の施設です。「遠方の親が遊びにやってきた」なんて時も、ゲストルームに泊まってもらえば部屋を片付けたり、寝具を用意したり、わざわざホテルを予約する必要はありません。
利用にはお金がかかることが多いですが、一泊数千円程度なので、ホテルよりもお得です。
グレードの高いマンションともなれば、スポーツジムやフィットネスクラブ、プールがあるケースも。
管理人とは別に、住民の生活をサポートする「コンシェルジュ」と呼ばれる人がいるマンションなど、まるでホテルのような施設・サービスを完備している物件も増えてきました。
ワンフロアで高齢者も暮らしやすい
メゾネット式(内階段があり2層に分かれている)やロフト付きの物件を除けば、マンションの専有部分はワンフロアが基本。
2階建て以上が主流(平屋も存在しますが)の一戸建てとマンションで、大きく異なるポイントのひとつです。
若い時は苦にならない階段の上り下りも、歳を重ねるときつく感じられたりするもの。
新築や築浅のマンションは、室内の段差がないフルフラットフロアが主流になってきており、バリアフリーの観点からすると、マンションはとても安全な空間を作りやすいといえるでしょう。
あるいは、住戸内の動線を考えてみても、垂直がなく水平のラインだけなのでシンプル。家事のために、1階と2階を行き来するわずらわしさとも無縁ですね。
気密性・断熱性が高い
マンションと一戸建ての違いというより、鉄筋コンクリート造と木造の違いになりますが、コンクリートで一体的に躯体を造るマンションは、躯体にすき間ができにくく、気密性が高くなります。
気密性が高いと外気が室内に入りにくく、室内の空気も外に漏れにくくなり、結果的に冷暖房の効きが良くなります。室内の温度も安定し、光熱費も安くなります。
2003年の建築基準法改正によって、機械で室内の空気を入れ替える24時間換気システムの設置が全ての住宅に義務付けられたため、新しいマンションであれば汚れた空気が室内にこもってしまうという心配もありません。
眺望や採光が良い
中・高層階の住戸なら、余程ビルやマンションが密集しているような地域でもない限り、低層の住宅に比べ窓からの眺めもよく、日当たりや通風の面でも優れています。
外から覗かれる可能性も高層になるほど小さくなるため、プライバシーが侵害されにくい点もメリットでしょう。
耐用年数が長い
税法上どれだけの期間利用することができるのかを表す「法定耐用年数」という概念があります。
年数は構造や用途(住宅、店舗、事務所など使い方の区分)によって変わりますが、用途が住宅だとすると、木造は22年に対し、鉄筋コンクリート造は47年です。
簡単にいうと、木造住宅は築23年以上で税法上の価値はゼロになってしまいますが、鉄筋コンクリート造のマンションは、築50年近くになるまで価値があるとみなされるということです。
この概念はあくまでも法律上のものですが、マンションが資産として高く評価される理由にもなっています。
将来売却がしやすい
マンションは設計の段階では誰が入居するかわからないので、普遍性のある間取りや仕様になっているのが一般的です。
そのため、どんな人にとっても住みやすい住宅になっており、市場での競争力も高く、売ったり貸したりしやすいのがマンションのメリットといえます。
維持管理の負担が少ない
共用部の清掃や点検・メンテナンス、建物そのものの修繕などは管理組合の役割です。
一戸建ては居住者が自分で家の周りを掃除したり、リフォームの手配をしたりしなくてはなりません。
対して、マンションであれば、住民がするのは自分が所有する専有部のことだけ。日常の負担は少なくて済みます。
さらに、マンション管理のプロが適切に実行してくれるので、マンション全体の環境を良好に保ちやすく、資産価値の評価にもつながりやすいのです。
どんなにお金をかけて立派に造った建物でも、メンテナンスやリフォームをしないままで傷みがひどく汚れたままでは、わざわざ買う気は起きませんよね。
マンションのデメリットについて
メリットをたくさんあげてきましたが、デメリットがあるのも当然です。
マンションのデメリットは下記となります。
●管理費・修繕積立金が必要
●駐車場代がかかる
●面積が狭い物件が多い
●音やプライバシー
管理費・修繕積立金が必要
マンション特有の出費が、管理費・修繕積立金です。
管理組合と管理会社によって維持管理が行われることは、先ほど説明した通りです。
その費用として住民は毎月、管理組合にお金を支払わなくてはいけません。
管理組合は、住民から徴収したお金で管理会社に費用を支払い、いずれ行われる大規模修繕の費用を貯めることが必要なのです。
国土交通省の「マンション総合調査」(2018年度)によると、平均的な管理費の金額は、月15,956 円(駐車場使用料等からの充当額を含む)。
修繕積立金は月12,268円(駐車場使用料等からの充当額を含む)。
マンションによって違いはありますが、合わせて月2〜3万円が相場といったところ。
つまり、一戸建てなら、住宅ローンの月々の返済額だけで済むところを、マンションはプラス2~3万円かかることを考慮しておかなくてはなりません。
管理費・修繕積立金を負担することで、維持管理の負担がなかったり、良好な環境を手に入れたりできるわけなので、メリットとコインの裏表のようなものではあるのですが、経済的にはデメリットであるといえるかもしれません。
駐車場代がかかる
マイカーをお持ちの方には欠かせない駐車場ですが、一戸建てであれば敷地内の駐車場を自由に使うことができます。
しかし、マンションである場合には、駐車場の利用にはお金がかかることがほとんどです。
またマンションに空きがない場合には、近くの月極駐車場を借りなくてはいけないことも…
また機械式の駐車場で車の大きさが制限されてしまう、といったデメリットもあります。
面積が狭い
2階建てが多い戸建てに比べると、マンションはワンフロアで床面積も狭い傾向にあります。
2022年に分譲された新築マンションの平均専有面積は66.0㎡でした。
またマンションの間取りは1LDK~3LDKが主流で、家族が多い場合、部屋数や広さが足りないといったことがネックになることもあります。
とくにお子さまがまだ小さい場合は寝室が一部屋だけでも問題ないことも多いですが、成長に伴い「それぞれの自分の部屋が欲しい」というようなケースも出てくるはずです。
そういった将来的な視点にも注意して検討する必要が出てきます。
音やプライバシーのトラブルが起きやすい
マンションは複数の住戸が隣り合っているため、隣や上下階の自分たちの生活音が迷惑になってしまったり、逆に隣や上下階の音に悩まされてしまったりする事態が起こってしまうことも。
管理規約がありライフスタイルに制約がある
多くの人が住むマンションでは住民同士のトラブルを防ぐために管理組合が管理規約を定めています。
例えば、飼育できるペットの種類が限られていたり、楽器の演奏は〇時~〇時まで禁止 など、やってはいけないが細かく定められているので、戸建てに住んでいた経験がある方などは特に窮屈さを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
リフォーム・リノベーションに制限がある場合も
マンションで自由にリフォーム・リノベーションができるのは専有部分、つまり室内のみなのは多くの方がご存知でしょう。
しかし窓やベランダ・バルコニーは実は共有部分として扱われるため、勝手にサッシやガラスを交換したりすることはできません。
断熱性を高めるためには、内窓「インプラス」の設置に限られるなど、思った通りのリフォーム・リノベーションができない可能性もあります。
マンションと戸建て、お得なのはどっち?
「マンションは管理費・修繕積立金がかかるので戸建ての方が良い」といった意見を耳にすることも多いです。
確かに月々の出費で見れば、マンションはローンの月々の返済以上にお金がかかるのは事実です。
ですが、長い目で見れば、マンションは一戸建て以上にお金がかかるというのは間違いです。
どんな建物も時間が経つと多かれ少なかれ劣化していき、修繕やリフォームが必要になるときがやってきますし、そうなればお金はかかります。
マンションか管理組合が住民から集めた管理費や修繕積立金によってメンテナンスや修繕を行いますが、一戸建てはリフォームするかどうかを決めるのは所有者です。
リフォームしないという決断もありですが、不具合を放置すれば劣化が進み、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
建て替えしか手段がないとなってしまえば、費用はリフォームの比ではありません。
維持管理が確実に実行される、という点ではマンションの方が低リスクで期待できるといえます。
さいごに
今回はマンションのメリットを中心にご説明しましたが、デメリットの方が自分たちの生活に影響があると感じた方もいらっしゃるでしょう。
都心より郊外で暮らしたい、子どもをのびのびと育てたい あるいは自分と家族のプライバシーを重視したいのであれば、マンションよりも一戸建てがベターかもしれませんね。
マンションか戸建てが迷っているという方も、弊社のディレクターがライフスタイルに応じたベストな選択を一緒に考えるところからサポートさせていただきます。
その後のリノベーション提案、資金計画やローンのご相談もワンストップでおまかせください。
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