2024.08.08

家族信託とは?メリットやデメリットなど詳しく委託者

不動産を購入しても老後はどうしたらよいか不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もし認知症などになってしまったら、自分の意志で信頼できる家族におませることができなくなってしまうケースがあります。そんなときに必要になるのが『家族信託』といって認知症などによる資産凍結を防ぐ方法があります。

万が一の場合に備えて、『家族信託』を知っておくことで将来、安心して暮らせる準備をしましょう。

今回は、『家族信託』のメリットやデメリットなどについても詳しく解説してきますので是非、参考にしてみてください。

家族信託ってなに?

家族信託とは、上記でも述べたように認知症などによる資産凍結を防ぐための法的制度です。万が一に認知になった場合家族や信頼できる人に財産管理を委ねることができます。

家族信託はたくさんある『信託』の一形態で、保有する不動産・預貯金等の資産を家族などに託し、その管理や処分を任せる仕組みです。

家族信託の仕組み

家族信託は4つの要素が連携することで成立します。

・委託者【親】

委託者は自分の財産の管理や処分を信頼できる人へその権利を委ねる人のことを言います。委託者は財産の管理の指示を出し、その指示に基づいて受託者は行動しなくてはなりません。家族信託では委託者の意向が非常に重要で、財産管理の指示を信託契約に定めることで、自分の財産が希望通りに管理されることが保証されます。

・受託者【家族】

受託者は委託者から財産の管理や処分を任された人のことをいいます。

受託者は信託契約によって定められた財産管理の指示じにたがって適切に管理し、処分したりする必要があります。指示の中には信託事務の遂行、善管注意義務、忠実義務、公平義務、分別管理業務、信託事務処理者の監督義務など、多くの義務があります。

・受益者【親】

受益者は信託財産の管理から生じる利益を受ける人のことをいいます。家族信託では委託者と受益者が同一人物であることがポイントです。委託者と受益者が同一であるからこそ家族信託の大きなメリットである贈与税がかからない仕組みが出来上がります。

・信託財産

信託財産とは、委託者が受託者へ管理を託す具体的な財産のことを指します。この財産には不動産や預貯金、株式などあらゆる資産が含まれています。

どの財産を管理してもらうかも信託契約を結ぶ際に具体的に決定されます。

どんなときに家族信託が必用になるの?

認知症になると、判断能力が低下した本人を悪徳業者や詐欺の被害から守るため資産が凍結する恐れがあります。

例えば…

・預金口座からお金を引き出せなくなる

・所有する不動産の売却や処分ができなくなる

・生前贈与などの相続対策ができなくなる

上記のように資産が凍結されてしまうと、本人の家族も本人の代わりにお金を引き出したり、不動産を売却したりすることができなくなります。そうなってしまったときは成年後見制度を利用しなくてはなりません。

成年後見制度とは

認知症、知的障害、精神障害などの理由でひとりで決めることに不安のある人を法的に保護して、本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行う制度のことを言います。

この成年後見制度を使えば凍結してしまった財産も動かすことができます。しかし、この成年後見制度にはいくつかの問題点があります。

・親族が後見人になる場合は負担が大きい

成年後見人は1年に1回、定期的に裁判所に報告を行わなければいけません。作成して提出する書類もたくさんあり、慣れない手続きを自分でやると時間や手間がかかります。

・資産運用ができない

あくまで成年被後見人を保護して支援するための制度であり、本人の財産を保護することを前提にしています。そのため株式投資や不動産投資のように、財産が減るリスクがある行為は基本的に認められません。

・生前贈与をはじめとした相続対策ができない

生前贈与をはじめとした相続対策をしたい場合でも、成年後見制度を利用しているとできない可能性が高くなります。

家族信託のメリット

家族信託は成年後見制度と比べて柔軟な財産管理が可能です。

①成年後見制度では難しい柔軟な財産管理が実現する

上記でも説明したように成年後見制度の場合は積極的な投資や運用を行うことはできません。しかし家族信託であれば、家庭裁判所の関与もなく、自宅の売却に許可を得る必要もありません。よって、手続きの手間やスご家族のストレスも削減でき、スムーズな財産管理が実現できます。

②遺言としての機能も果たす

家族信託には遺言としての機能が備わっています。家族信託の契約書ないで死亡したあとの財産の継承先を定めることができるのです。

③不動産の共有によるリスクを回避できる

不動産を複数の人で共有している場合、その中の誰か一人でも認知症などになると不動産の売却や大規模修繕が行えなくなってしまいます。家族信託では、不動産の所有権は特定の受託者に移転し、不動産の管理・運用権限もその受託者が持ちます。そのためトラブルを未然に防ぐことが可能です。

④相続時のふたんが軽減される

家族信託は遺言としての機能を備えていますが、これにより委託者がお亡くなりになった後、相続時の負担も大きく軽減されます。

信託契約内で、財産の承継者やその内容を適切に定めておくことで、遺産分割協議を行う必要がなくなるためです。

家族信託のデメリット

メリットもありますがもちろんデメリットもありますので、しっかりと確認しておきましょう。

①身上監護ができない

家族信託は主に財産管理を目的としており、身上監護(例えば介護や医療契約)には対応していません。信託契約で介護費用の支払いは可能ですが、受託者が医療や介護の具体的な手続きを代行することはできません。

②直接的な節税効果はない

委託者の判断能力が低下した後でも財産管理を継続し、相続直前まで資産運用を行い、相続税対策を施すことができますが、信託財産からの収益は受益者に対して課税されるため、家族信託が節税手段に直接なるわけではありません。

③受託者の信託財産悪用のリスク

受託者が委託者の財産に直接アクセスできるため、悪用の可能性がゼロではありません。受託者が契約に反して行動した場合に備え、信託契約には受託者の違反に対する対処法を明記し、公正証書で契約することで契約違反に効果的に対応できます。

まとめ

受託者が契約に反して行動した場合に備え、信託契約には受託者の違反に対する対処法を明記し、公正証書で契約することで契約違反に効果的に対応できます。

家族信託を成功させるには、法律や税務に関する深い理解が必要です。そのため、信頼できる知識と実績を持つ専門家へ必ず相談しましょう。

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