2025.10.16

地震に強い住まい!耐震補強とリノベーションで実現する安全で快適な暮らし

地震の多い日本で安全に暮らすためにも、住まいの耐震性は大切な項目です。現在住んでいる家の耐震性に不安がある場合は、工事で耐震性を向上させるという方法があります。本記事では、耐震補強工事の概要や費用目安、さらにリノベーションと組み合わせた効果的な住まいづくりについて解説します。

耐震補強とは?目的と概要

大きな地震が発生した際の、建物の倒壊・破損のしにくさのことを耐震性といいます。耐震性が高いほど、地震の揺れで倒壊や破損がしにくいです。そして、建物の地震対策には、「耐震」「制震」「免震」の3つがあり、「耐震補強工事」は、このうち「耐震」の性能を高める工事を指します。

「耐震」とは建物の強さで地震に耐える仕組みのこと。具体的に行われる工事には、建物を支える柱・梁・壁などを補強する、耐震壁を増やすなどが挙げられます。建物に対して行うので、立地や地盤の性質にかかわらず工事が可能です。ただし建物に伝わる揺れそのものを軽減するわけではないため、建物の上階に行くほど地震の揺れが大きく伝わることがデメリットだといえます。

建物が地震に耐えるための仕組みは、そのほかにも「制震」と「免震」があります。「制震」は、建物に錘(おもり)やダンパーなどの制震装置を設置し、地震の揺れを吸収する仕組みです。建物に伝わる振動を減らし、建物へのダメージを減らします。「免震」は、建物と基礎の間に免震装置を設置して、地面の揺れを建物に伝わりにくくする方法のことです。

耐震補強が必要な住宅の特徴

建物の耐震性に不安がある場合、耐震補強工事を検討するとよいでしょう。耐震補強の必要性を判断する際には、次のような項目をチェックすることが多いです。ただし、以下に当てはまるからといって必ずしも「耐震性の低い危険な建物」とは限りません。あくまで目安として考えておきましょう。

1981年以前に建てられている

1981年6月に建築基準法が大きく改正され、耐震基準がより厳しくなりました。旧耐震基準では震度5程度の地震で建物が倒壊しないことが主な基準でしたが、新耐震基準では震度6~7の大地震でも倒壊しないことが基準となっています。したがって、旧耐震基準で建築確認申請を行って建築された建物は、新耐震基準で建てられた建物よりも耐震性が低い可能性があります。ただし、旧耐震基準で建てられていても耐震性の高い場合もあり、必ずしも危険と判断されるわけではありません。

1981年以前に建設された住宅に対しては、ほとんどの自治体で耐震診断や改修の補助金制度がありますので、ぜひ確認してみてください。

1階の壁面積が少ない

1階の壁が少ない建物は、壁が多い建物と比べて耐震性が低くなってしまいます。大きな窓が付いている建物、1階部分が店舗や車庫、倉庫などになっている建物は、住戸に比べ壁面積が少ないため地震に弱い傾向があります。

軟弱な地盤に建っている

海や川を埋め立てた土地などは地盤が弱い傾向にあります。そのような土地に建つ建物は、地震の時に揺れが大きくなったり、建物の重さに地盤が耐えきれずに倒壊したりする危険性があります。なお、行政から「特に軟弱な地盤」と指定された地域にある建物は、壁の量を通常の1.5倍にするよう建築基準法で定められています。

1階と2階の外壁線が異なる

1階と2階の外壁線がそろっている方が構造上安定しています。2階が1階よりも飛び出している部分がある家などは、そうではない家と比較して耐震性が低い可能性があります。

耐震性について不安がある方は「耐震診断」によって耐震性能を具体的に確認してみてもよいでしょう。

耐震補強工事の費用目安

耐震補強工事の費用相場は、木造一戸建てで100~150万円程度が一番多い価格帯です。耐震補強工事の内容や建物の築年数、床面積、劣化具合によって費用が異なりますが、一般的に古い物件ほど費用が高くなる傾向があります。築年数が古い物件は建物の劣化が進んでいますし、旧耐震基準の場合は新耐震基準に合わせるために多くの工事を必要とするからです。

ここでは、「財団法人日本建築防災協会」が発表している内容を参考に、木造一戸建てで耐震補強工事をおこなった場合の費用目安を部位ごとにまとめました。

基礎

  • 工事内容:無筋コンクリートの増し打ち補強、耐力壁の新設部分の基礎の新設など
  • 費用目安:4~5.5万円/メートル

外壁

  • 工事内容:筋かいや構造用合板による補強など(外壁仕上げ工事費を含む)
  • 費用目安:13~15万円/幅910ミリメートル

内壁

  • 工事内容:押入れや室内側からの筋かいや構造用合板による補強など(内装仕上げ工事費を含む)
  • 費用目安:9~12万円/幅910ミリメートル

屋根

  • 工事内容:軽い屋根材へのふき替え(費用は素材によっても異なる)
  • 費用目安:1.5~2万円/平方メートル

リノベーションと耐震補強を同時に行うメリット

耐震補強工事は、壁や床、天井を解体して構造部分に手を加える必要があるため、リノベーションと同時に行うことで大きなメリットがあります。

コスト削減が可能

耐震補強工事だけを単独で行う場合、壁や床の解体・復旧費用が別途必要になります。しかし、リノベーションと同時に行えば、解体費用や仮設工事費用を一度で済ませることができ、全体的なコストを抑えることが可能です。特に間取り変更を伴うリノベーションを計画している場合は、耐震補強も一緒に検討するのが効率的です。

工期の短縮

耐震補強とリノベーションを別々に行うと、それぞれの工事で仮住まいが必要になったり、生活に支障が出たりします。同時に行うことで工期を短縮でき、仮住まい費用の削減や生活への影響を最小限に抑えることができます。

デザインと安全性の両立

リノベーションと同時に耐震補強を行うことで、構造上必要な耐力壁の位置を考慮しながら、理想の間取りやデザインを実現できます。構造設計士や建築家と相談しながら、安全性とデザイン性を両立させた住まいづくりが可能です。

資産価値の向上

耐震性能が向上した住宅は、将来の売却や賃貸の際にも有利になります。リノベーションで内装や設備を新しくするだけでなく、構造面での安全性も確保することで、住宅の資産価値を大きく高めることができます。

リノベーションで取り入れたい耐震補強のポイント

リノベーション時に耐震補強を行う際は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。

構造の専門家による診断

リノベーション計画を立てる前に、まず構造の専門家による耐震診断を受けることが重要です。建物の現状を正確に把握し、どの部分にどのような補強が必要かを明確にすることで、効果的なリノベーション計画を立てることができます。

間取り変更と耐力壁の配置

リノベーションで間取りを変更する際は、耐力壁の配置に注意が必要です。耐力壁は建物の強度を保つために重要な役割を果たしており、むやみに撤去することはできません。間取りの自由度を高めたい場合は、構造用合板や筋かいで新たに耐力壁を設けるなど、構造設計士と相談しながら計画を進めましょう。

床・基礎の補強

古い住宅では、床下の状態が悪化していることも少なくありません。リノベーション時に床を全面的に解体する場合は、基礎の補強や床組みの強化も同時に行うことで、建物全体の耐震性を高めることができます。

屋根の軽量化

重い瓦屋根から軽量な金属屋根やスレート屋根に変更することで、建物の重心が下がり、耐震性が向上します。リノベーションで外装も一新する場合は、屋根材の見直しも検討するとよいでしょう。

国の補助金や融資制度の活用も可能

国や自治体では、耐震補強工事にかかる費用の一部を補助する制度があるので、該当する場合は活用を検討しましょう。リノベーションと組み合わせることで、より大規模な改修が可能になります。制度の内容は自治体によって異なるので、お住まいの自治体のホームページなどを確認してみてください。なお、すべての自治体が実施しているわけではありませんので、ご注意ください。

また、住宅ローンを扱う住宅金融支援機構でも、耐震補強工事費用の融資を行っています。リフォーム融資の融資限度額は、令和3年10月時点で1,500万円です。

そのほか、一定の条件を満たして耐震補強工事を行った場合は、所得税や固定資産税での減税を受けることができます。制度の適用には、改修工事を行ったうえで、自治体や建築士事務所登録のある事業所の発行する証明書が必要です。

耐震性の高い中古マンションを選ぶポイント

中古マンションを購入してリノベーションする場合は、物件選びの段階で耐震性を確認しておくことが重要です。マンションの場合、個人で構造部分の耐震補強工事を行うことは基本的にできないため、購入前に耐震性をしっかりチェックしましょう。

1. マンションの構造

マンションの構造によって耐震性に違いがあります。例えば、壁・床・天井で箱を作り「面」で建物を支える「壁式構造」は耐震性が高く、柱と梁で作ったフレームで建物を支える「ラーメン構造」は壁式構造と比較して地震の横揺れに弱いといわれています。ただし、壁式構造は重さがあり、高層マンションには向きません。ラーメン構造についても、立地や構造体などを考慮し、それぞれの条件に適した構造の設計・施工がなされており、「ラーメン構造だから危険」ということではありません。

2. マンションの形状

シンプルで外壁線がそろっている箱型は耐震性が高いマンションの形状です。一方、構造上のバランスが最適ではない形状には、以下のようなものが挙げられます。

ピロティ形式:1階が柱だけで壁のない空間になっている形状を指します。負荷が多くかかる1階に壁が少ないので耐震性が低くなりやすいです。

構造形式が途中から変わっている:例えば下層部がSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)、上層部がRC(鉄筋コンクリート造)といった高層マンションなどが挙げられます。地震の際には、構造が変わる境目に力が集中し、負荷がかかりやすいといわれています。

横に細長い形状:地震のエネルギーが建物の長い辺に集中し、負荷がかかりやすいといわれています。

3. マンションの管理状態

築年数の古い建物が経年とともに劣化していくのは仕方がないことですが、適切なメンテナンスや修繕により、経年劣化を軽減させることが可能です。マンションの定期的なメンテナンスは、個人ではなく管理組合主導のもと行われます。マンションの修繕計画や修繕履歴などから、過去の修繾内容、これからの計画などを確認しましょう。いつどんな修繕、補強を行ったのか、またその資金計画が適切になされているかをチェックしておきましょう。

まとめ

耐震補強工事とは、地震による建物の倒壊・破損のしにくさを向上させる工事のことです。建物の地震対策には「耐震」「制震」「免震」の3つがありますが、「耐震補強工事」というと建物の頑丈さで地震に耐える「耐震」についての工事を指すことが一般的です。

現在のお住まいで耐震性に不安がある場合は、リノベーションと組み合わせて耐震補強工事を検討することで、安全性と快適性、そして経済性を同時に実現できます。特に築年数の古い住宅をリノベーションする際は、この機会に耐震性能も向上させることで、長く安心して暮らせる住まいに生まれ変わらせることができます。

マンションの場合は個人で耐震補強の工事はできないので、耐震性に留意しながら物件を選び、専有部分のリノベーションで快適性を高めることが大切です。安全で快適な住まいづくりのために、専門家に相談しながら計画的に進めていきましょう。

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