リノベーションによって間取りが新しくなり、お気に入りの壁紙や床材が選ばれ、空間のベースが美しく整っていく中、次にインテリアの表情を決定づける主役となるのが「家具」の存在です。
中でもリビング・ダイニングの真ん中に置かれる「ダイニングチェア」は、部屋全体の印象を大きく左右するだけでなく、日々の暮らしの快適さにダイレクトに関わってきます。食事をしたり、仕事をしたり、家族とおしゃべりをしたり。毎日何気なく体に触れるものだからこそ、妥協せず選びたい特別なアイテムです。
今回は理想の空間を叶えるためのダイニングチェアの選び方について、シルエットやタイプ、素材の視点から選び方を順に紐解いていきます。

快適さの黄金比 「差尺」という基本ルール
ダイニングチェアを選ぶ際、まず気を付けたいのがダイニングテーブルとの高さのバランスです。高さが合わないと食べづらさや、疲れやすさを感じやすくなってしまいます。
そこでダイニングチェアのデザインや形を選ぶ前に、まず知っておきたいのが「差尺」という言葉です。
差尺とは
差尺とは、「ダイニングテーブルの天板の高さ」と「椅子の座面高さ」の差のことです。一般的にこの差が27~30㎝前後であることが、食事をしたり、ノートパソコンを開いて作業をしたりするときに、最も体に負担がかからず姿勢が美しく保てる「黄金比」と言われています。
・テーブルが高いor椅子が低い:腕を持ち上げる姿勢になり、肩や首に余計な負担がかかります。
・テーブルが低いor椅子が高い:前かがみの姿勢になり、食事や作業がしにくく感じられます。
お気に入りのテーブルとチェアを別々に選んで組み合わせる際は、毎日心地良く食事や仕事時間を楽しむために、差尺を確認することをおすすめします。
「シルエット」で変わるお部屋の印象
ダイニングチェアを選ぶとき、まず目に飛び込んでくるのがチェアの「シルエット」です。背もたれの高さやひじ掛けの有無、輪郭が描く直線や曲線のラインは、家具単体のデザインにとどまらず、空間全体の広がりや雰囲気を大きく左右します。
背もたれの高さがもたらす効果
★ローバック(低い背もたれ)

背もたれが低めのチェアは、視線を遮るものが少なく、ダイニングスペースからリビングの奥まで視線がスッキリと抜けます。部屋全体に開放感が生まれ、実際の床面積以上に空間を広く見せたい場合に非常に効果的です。北欧ナチュラルやミニマルモダンのテイストに向いています。
★ハイバック(高めの背もたれ)

背中や頭までしっかりと支えてくれるハイバックのチェアは、包み込まれるような安心感と極上の座り心地をもたらします。空間にしっかりとした存在感や重圧感が生まれるため、ホテルライクなインテリアや落ち着いた大人の空間に馴染みます。
アームの有無によるシルエットの違い
★アーム付きチェア

肘を預けてゆったりと身体を預けられるため、食事のあともそのままくつろいで会話を楽しみたいときや、パーソナルなリラックスタイムに向いています。ヴィンテージテイストやナチュラルリッチのテイストにマッチします。
★アームレスチェア

スッキリとコンパクトなシルエットが特徴です。使用しないときはテーブルの下に綺麗に収まるため、通路動線を広く確保でき、立ち座りの動作もスムーズ。数脚並べても視線がごちゃつかず、ミニマルにまとまります。
曲線と直線が生み出す雰囲気
★柔らかな曲線が描くデザイン

背もたれやフレームに丸みや有機的なカーブを取り入れたチェアは、空間に優しさや温もりをもたらします。北欧ナチュラルや、家族や友人が自然に集まるカフェ風のインテリアに最適です。
★シャープな直線的デザイン

無駄な装飾をなくした直線的なフォルムや、エッジの効いたデザインは、洗練されたモダンな空間を演出します。シャープな脚元から生まれる空間の軽やかさも大きな魅力です。
チェアタイプで選ぶ用途とシーン 暮らしに合わせた機能性
デザインや形だけでなく、椅子のタイプによって、日々の暮らしの中での使い勝手や適したシーンによって大きく変わってきます。ライフスタイルや、ダイニングでどのように過ごしたいかに合わせて選ぶのがポイントです。
1人掛けチェア
食事のあともコーヒーを飲みながらゆっくりくつろぎたい時に最適です。身体をしっかり預けられるサイズ感が空間に「自分だけの特等席」のような心地よさをプラスします。
ベンチ・カウンターベンチ
小さなお子様と並んで座りたい時や、限られたスペースをスッキリ見せたい時に活躍します。使わないときはテーブルの下に収まって動線を確保できるのも大きな魅力です。
回転チェア
椅子を後ろに引かずに身体の向きを変えられるため、テーブルの後ろが狭い場所でもスムーズに立ち座りができます。食事中に後ろの物を取ったり、リビングの家族と向き合ったりと柔軟に使えます。
印象と肌触りを決める「素材と質感」の選び方
シルエットやタイプが決まったら、最後にこだわりたいのが「素材と質感」です。
ダイニングチェアは毎日直接体に触れる家具だからこそ、見た目のデザイン性はもちろん、肌触りやお入れのしやすさも大切なポイントになります。
フレーム(脚部・枠)の素材
★天然木(ウッド) どんな空間にも馴染む、あたたかな温もり

オークやウォールナット、チークなどの天然木を使ったフレームは、木のぬくもりを感じさせ、時間とともに味わいが増していくのが魅力です。北欧ナチュラルや和モダン、ジャパンディなど、幅広いインテリアにやさしく溶け込みます。
★スチール・アイアン(金属) 空間をキュッと引き締める、スタイリッシュな佇まい

細身のブラックスチールやクロームメッキの脚部は、空間に軽やかさとモダンなキレを与えてくれます。インダストリアルテイストやモダンインテリア、カフェ風のコーディネートにぴったりで、木製テーブルにあえてスチール脚のチェアを合わせる異素材ミックスも人気です。
座面(張地)の素材
★ファブリック(布地) 豊かなカラーと、包み込まれるような柔らかさ
カラーや織りのバリエーションが最も豊富なのがファブリックです。季節を問わずサラッとした肌触りで、インテリアのアクセントカラーを取り入れたいときにも最適。カバーリング仕様や撥水加工が施された生地を選べば、小さなお子様がいるご家庭でも安心です。
★レザー(本革・PVC/PUレザー) 上質な重厚感と、経年変化を楽しむ
使うほどに味わいと深みが増す「本革」は、高級感あふれる大人な空間を演出してくれます。一方、合成皮革(PVC/PUレザー)は水や汚れをサッと拭き取れるメンテナンスのしやすさが魅力。ヴィンテージテイストやホテルライク、シックなモダン空間に美しく映えます。
★板座(木製座面) お手入れしやすく、木の美しさを堪能する
張地を張らず、木そのものを座面にしたタイプです。食べこぼしなどの汚れもサッと拭くだけでお手入れが完了するため、衛生面でも優れています。お気に入りのギャッベやクッション、チェアパッドを季節に合わせて重ねて楽しむ使い方もおすすめです。
まとめ
ダイニングチェアは、ただ「座るため」だけの家具ではありません。
家族と笑いながら朝食を囲むとき。温かいお茶を飲みながらホッと一息つくとき。少し集中して仕事や作業に向き合うとき。ダイニングチェアは、暮らしのさまざまなシーンであなたの身体を優しく支えてくれる相棒のような存在です。
リノベーションで新しく生まれ変わったお気に入りの空間で、あなたとご家族の毎日に心地よく寄り添う、とっておきのダイニングチェアを選んでみてくださいね。
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