現代の住まいづくりにおいて、限られた空間を有効活用しながら、同時に美しさも追求したいというニーズが高まっています。そんな中で注目を集めているのが「ニッチ」です。小物を収納できるちょっとしたスペースがあれば便利なのに、壁に絵や雑貨を飾る場所があったらいいなと感じることはありませんか?そんな悩みを解決してくれるのが、最近よく見かけるニッチなのです。
ニッチは、アイデア次第でインテリアの可能性を無限に広げてくれる優れたアイテムです。単なる収納スペースとしてだけでなく、空間に個性と魅力を与えるデザイン要素としても活用できます。今回は、便利な使い方や、オシャレに見せる方法、さらには設置時の注意点まで、ニッチ活用の全てをご紹介します。
ニッチってどんなもの?
ニッチとは、壁の厚みを利用し壁を数センチ凹ませてつくる棚のことです。リモコンやスイッチ、インターホンを収めたり、小物や絵を飾ったりなど、ちょっとした収納として使うこともできます。床面積を一切使わずに収納スペースを生み出せるため、狭小住宅や限られた空間でも有効活用できる画期的なアイデアです。
もともと、この「ニッチ」という言葉は、西洋建築で壁や柱の凹みのことを意味し、物を置いたり彫刻を飾るスペースとして活用されてきました。建築の世界では「壁龕(へきがん)」とも言われています。古代ローマ時代から続く伝統的な建築手法が、現代の日本の住宅にも取り入れられ、新しい形で進化を遂げているのです。
近年の住宅では、壁の構造や断熱材の配置を工夫することで、様々な場所にニッチを設けることが可能になりました。設計段階から計画的に配置することで、機能性とデザイン性を両立した理想的な住空間を実現できます。
ニッチの施工例10選
1.スイッチニッチ
インターホンや給湯器のリモコンは使いやすい高さで壁に取り付けられるのですが、目線の高さに壁から出っ張っていると通る時の邪魔にもなります。また、スイッチやリモコン類は、サイズも厚みもバラバラで統一感がありません。
ニッチにまとめて配置するだけで、バラバラのサイズのものが揃って見えるのは、ニッチのフレーム効果によるものです。枠の線が、それぞれを一つにまとめ、スッキリ整って見せてくれます。さらに、配線も隠すことができるため、より美しい仕上がりになります。
2.玄関ニッチ
玄関ニッチは、来客があった時や帰宅時に最初に目につく場所です。好みの雑貨をディスプレイしたり、その家の個性を表すことのできる重要なスペースとなります。季節の花を飾ったり、家族の写真を置いたりすることで、温かみのある印象を与えることができます。
また、実用面では、家の鍵や自転車の鍵など、細かいものをまとめて置くスペースにする使い方もオススメです。外出時に必要なアイテムを一箇所にまとめておけば、忘れ物も防げます。
足元にニッチを造れば、スリッパラックとしても活用することができます。ニッチの手前にバーを取り付けて、スリッパを立てて収納できるようにすれば、見た目にスッキリしながらも機能的な収納が実現できます。
3.洗面ニッチ
洗面台横の壁に作ったニッチは、非常に実用的です。タオルやティッシュ、お化粧品、コンタクトケースや眼鏡など、洗面まわりでよく使うもので濡れたくないものを置いておくのに最適です。
三面鏡の裏の収納とは異なり、いちいち扉を開閉する必要がないため、毎日の使い勝手が格段に向上します。特に朝の忙しい時間帯には、その便利さを実感できるでしょう。
殺風景になりがちな洗面台まわりも、ニッチの背面にタイルやアクセントクロスを貼ったりするだけで、オシャレな空間に生まれ変わります。モザイクタイルや天然石を使用すれば、高級感のある仕上がりになります。
4.トイレニッチ
意外と収納するものが多いトイレ空間。トイレの幅は一般的に約80㎝で、トイレとして利用するには十分な幅ですが、ここに収納棚を作ってしまうと狭く感じられるかもしれません。ニッチは床面積を必要としないので、トイレの広さを変えずに収納をつくることができます。
最近はタンクレスのトイレが人気ですが、トイレ内がスッキリとする反面、トイレットペーパーの置き場所にちょっと悩んでしまいます。トイレニッチがあればそんな悩みも解消できます。トイレットペーパーだけでなく、トイレ掃除に必要な小物や芳香剤なども整理整頓して収納できます。
5.寝室ニッチ
寝る際、ベッドのどこに携帯電話やメガネを置いていますか?寝室にニッチを作るなら、枕元の設置が断然おすすめです。エアコンのリモコンを置いたり、ニッチの中にコンセントをつければ携帯電話の充電スペースとしても活用できます。
加湿器や空気清浄機のリモコン、読書用のライト、目覚まし時計など、寝室で必要なアイテムをまとめて収納できるため、ベッドサイドテーブルが不要になる場合もあります。ただし、枕元のニッチなので、ホコリがたまらないようにこまめに掃除をする必要があります。
6.テレビニッチ
テレビやスピーカーも壁に埋め込めばスッキリします。これはリビングの大きさが限られていて、ソファとテレビとの距離がなかなか確保できないときなどにオススメです。たった10cmぐらいの違いですが、見た目が結構変わります。
配線も隠すことができるため、より美しい仕上がりになります。ただし、将来的にテレビのサイズを大きくすることはできなくなるため、長期的な視点で計画する必要があります。テレビでなく、絵やポスターを飾るためのアートニッチとして計画するのも良いアイデアです。
7.リビングニッチ
壁の角を利用してニッチをつくることもできます。二方向から見ることができるコーナーニッチは、空間に立体感と奥行きを与えてくれます。ニッチがあるのとないのとでは、家の印象がかなり変わります。
季節の植物やディフューザーなどの香りものを置くのはいかがでしょうか。出かける時や帰ってきた時に癒されそうですよね。照明をつけると更にオシャレになり、夜間の間接照明としても機能します。
8.キッチンニッチ
リビングやダイニング側から見えるキッチンの前面をニッチにする方法があります。収納力がアップし、リモコンやティッシュなど日用品の収納として使えて便利です。また、小物を飾ったりお子様の作品のディスプレイコーナーにするのもおすすめです。
レンジフード側の壁にニッチをつくることができたら、スパイスや調味料を並べて置く場所にするのも非常に便利です。スパイスは引き出しに入れるより、見える場所に並べて置いた方が取り出しやすく、料理の効率も上がります。
9.階段ニッチ
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暗くなりがちな階段や廊下スペースにニッチをつくり、雑貨をディスプレーして明るい空間にするのはいかがでしょうか。家族写真やお子様の作品などをディスプレイするのも良いですね。階段を上がりながら思い出を楽しめる空間になります。
階段の腰壁を利用したニッチの本棚を作ることもできます。階段を上がりながら本を選んだり、空間に知的な印象を与えることができます。照明と組み合わせることで、より効果的な演出が可能です。
10.和室ニッチ
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ニッチは洋室だけではなく和室にも合うんです。季節の飾りを置いても部屋のスペースを取らずにスッキリと見えます。和室に一味違った要素をプラスすることで、素敵なアクセントになります。
また、神棚の置き場に困った時は、奥行の深いニッチをつくるとすっきり収めることができるのでおススメです。和の伝統的な要素と現代的なデザインを融合させることで、新しい和室の在り方を提案できます。
オシャレに見せる方法とデザインのコツ
いろいろな使い方をご紹介しましたが、ニッチの良さは、なんといっても気軽にインテリアを楽しめることです。よく見かけるものは四角形のニッチですが、実は三角や丸型、アーチ型など、好きな形に仕上げることも可能です。
背面にタイルやアクセントクロスを張ってインテリア性を高める、棚を設けて収納量をアップさせる、スポットライトやダウンライトを設置してディスプレイをより美しく演出する、といった方法もあります。LED照明を使用すれば、省エネ効果も期待できます。
素材選びも重要なポイントです。木材を使用すれば温かみのある印象に、石材や金属を使用すればモダンで洗練された印象を与えることができます。周囲のインテリアとの調和を考慮しながら選択しましょう。
季節の植物を飾ったり、趣味の小物をディスプレイしたりと、いろいろな楽しみ方が広がるのではないでしょうか。定期的にディスプレイを変更することで、空間に新鮮さを保つことができます。
飾り方のポイント
バランスの取り方
大きめのニッチの場合は、三角形を意識して配置するとバランスよく見えます。背の高いものを中心に、左右に低いものを置くことで安定感のある構成になります。
小さめのニッチは、置くものを一つにすると周りに余白ができ、より印象付けてくれます。余白の美学を活用することで、洗練された印象を演出できます。
統一感の演出
本など同じ高さのものをいくつか並べて連続性を持たせる飾り方もあります。色味や素材を統一することで、より洗練された印象を与えることができます。
何段か棚板があるニッチに物を置くときは、一段目は左側、二段目は右側と左右交互に物を置いていくと、バランスよくなります。この手法は視覚的なリズムを生み出し、見る人の目を楽しませてくれます。
色彩計画
最近ではオシャレなパッケージの商品も多いので、見せる収納でも良いですが、たくさん物を置く場合は、収納ケースなども活用しながら、色や質感に統一感を持たせると、すっきりとまとまります。
高低差・色味・テーマ・余白、これらのポイントはニッチに限らず使える飾り方のテクニックなので、ぜひ参考にしてみてください。
設置時の注意点と事前準備
ニッチを設置する際は、建物の構造を十分に理解した上で計画する必要があります。耐力壁や配管、配線の位置を確認し、構造に影響を与えない範囲で設計することが重要です。
ニッチは10㎝位の奥行が主流ですが、もっと広くしたい場合には、構造的に必要な壁厚よりも壁を厚くすることで奥行があるニッチをつくることができます。使い方によって設置場所や高さ、サイズが変わるので、何を収納するかを最初に具体的に決めておきましょう。
ニッチ内は意外にホコリがたまりやすい場所です。掃除のしやすさも考慮して、手の届く高さに設置することや、掃除しやすい形状にすることも重要なポイントです。
最後に
いろいろな使い方、演出方法をご紹介してきましたが、あまりつくり過ぎてしまうとごちゃごちゃし、かえってまとまりのない空間になってしまいます。ニッチがアクセントとしての効果が薄れてしまうため、あくまでインテリアのワンポイントとして取り入れるようにしてください。
ニッチは単なる収納スペースではなく、住む人の個性や生活スタイルを表現するツールでもあります。使われていない少しの空間に自分の好きな物や、アイデアを詰め込んだインテリア空間をつくることで、より愛着のわく住まいを実現できるのではないでしょうか。
計画段階からしっかりと検討し、プロの意見も参考にしながら、あなたの理想とするニッチ空間を作り上げてください。きっと、毎日の生活がより豊かで快適なものになることでしょう。
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