リノベーションにおいて、クロスを張り替える以外に「塗装」を選ばれる方が増えています。塗装の魅力は、光の当たり方で表情を変える質感と、無限の色から選べる深みのある色彩を実現し、空間へのこだわりを形にできる点です。しかし、「種類が多すぎて何を選んでいいか分からない」「安全性やにおいは大丈夫か」といった不安が生じるのも当然です。この不安を解消し、あなたの理想を実現するためには、塗料を「安全性(におい)」と「こだわり(質感)」という二つの明確な基準で整理することが重要です。「安全性」と「質感」の二つの基準を踏まえ、ここからは、あなたのリノベーションをワンランク上に引き上げる、人気の壁面塗料の種類と、その特徴を具体的にご紹介していきましょう。
室内の壁面に使われる主な塗料の種類
アクリルエマルションペイント (AEP)
最も標準的な内装用塗料。水性で臭いがほとんどなく、施工しやすい。 色数、価格のバランスが良い。シックハウス対策としてF☆☆☆☆(フォースター)適合品を選ぶのが基本。耐久性や機能性(調湿・消臭)は他の機能性塗料に劣る。
ゼロ/低VOC塗料
VOC(揮発性有機化合物)の含有量が極めて少ないかゼロ。刺激臭がほぼなく、アレルギー体質の方や乳幼児がいる家庭に最適。AEPよりも価格がやや高い場合がある。
自然塗料 (天然塗料)
植物油、天然ワックス、ミネラルなどを主成分とし、化学物質をほとんど含まない。 独特の温かみのある質感が得られる。価格が高価になる傾向があり、乾燥に時間がかかる場合がある。
珪藻土塗料・漆喰塗料
厳密には「塗料」ではないが、内装の塗り壁材として人気。 高い調湿性・消臭性があり、結露やカビの抑制に効果的。 独特の左官仕上げ(テクスチャー)が楽しめる。一般の塗料より高価で、施工に手間がかかる。乾燥後の粉落ちに注意が必要な場合がある。
消臭・抗菌塗料
光触媒などの技術により、生活臭やタバコ臭を分解したり、菌の増殖を抑制する。 病院や介護施設などにも使われる。機能が永続的ではないものもあり、効果の持続期間を確認が必要。
塗料選びで後悔しないための視点
安全性(F☆☆☆☆)
刺激臭や健康被害を避けるため、必ずこの基準を満たした製品を選びましょう。
機能性
湿気対策なら珪藻土・漆喰、臭い対策なら消臭機能付き、といったように、部屋の課題に合わせた機能を選びましょう。
質感(ツヤ)
サンプルで光の当たり具合を確認し、部屋の用途と好みの雰囲気に合わせて選ぶことが重要です。
F☆☆☆☆(エフ・フォースター)とは

「F☆☆☆☆」は、シックハウス症候群の原因の一つとされるホルムアルデヒドの発散量の少なさを示す等級表示です。

星の数が多いほど、安全性が高く、居室内で広く使用できます。塗料の場合、現場施工で使われるもの(特に内装用)はホルムアルデヒド放散量の規制対象となっています。「F☆☆☆☆」の塗料は、ホルムアルデヒドの発散速度が0.005mg/㎡h以下と定められており、居室の広さに関わらず、内装材として自由に使用することが認められています。F☆☆☆☆の表示は、塗料メーカーや関連団体が、JIS(日本産業規格)やJAS(日本農林規格)の基準、または国土交通大臣の認定等に基づき、自主的に表示しています。内装用塗料を選ぶ際は、この☆☆☆☆マークを目安にすることが、健康で快適な住空間を確保する上での重要な判断基準となります。
「ワンランク上」の空間を実現する、質感にこだわる内装塗料3種をご紹介
スエードペイント

1.特徴
スエードペイントの最大の魅力は、その質感とテクスチャーにあります。この塗料は、非常に粒子が細かく、乾燥するとまるでベルベットや上質なスエードのような、極めてマットで柔らかい質感になります。塗膜は滑らかでありながら温かみがあり、一般的なビニールクロスやペンキでは決して得られない、素材感のある特別な手触りを壁面に与えることができます。
2.視覚効果とデザイン性
スエードペイントがもたらす視覚効果とデザイン性は、空間の質を大きく高めます。塗料内の特殊な成分と顔料の配合により、刷毛やコテの動き(ストローク)に応じた自然なムラと色の濃淡が生まれ、これが壁面に深みと高級感を演出します。さらに、光を強く反射しないマットな仕上がりのため、太陽光や間接照明の当たり方によって壁面の陰影が繊細に変化し、まるで一日のうちで異なる表情を見せる「生きている壁」のような効果が得られます。これにより、空間全体に温かみと落ち着きを与え、リラックスできる雰囲気を作り出すことができます。
3.施工性と安全性
安全性と施工性においては、スエードペイントは一般的に水性塗料がベースであるため、油性塗料のような強い溶剤臭がなく、室内での塗装に適しています。健康面にも配慮されており、低VOCまたはVOCフリーの製品が主流で、高い安全性を誇ります。さらに、この塗料は塗り方に「正解」がなく、ペインターやDIYする人の手仕事の跡がそのままデザインとして活かされるため、均一でない仕上がりこそが魅力となる点も大きな特徴です。
4.向いている用途
- アクセントウォール: 面だけ一に使い、空間のフォーカルポイントにす。
- 寝室やリビング: 落ち着いた雰囲気と高級感を両立したいプライベート空間。
- 和モダンな空間: 伝統的な塗り壁材のような温かみと、現代的な色彩を融合させたい場合。
ミルクペイント

1.特徴
そ牛乳のタンパク質であるカゼイン、顔料、石灰、粘土などの天然素材が主成分です。安全性: VOC(揮発性有機化合物)をほとんど含まない、環境と体に非常に優しい塗料です。F☆☆☆☆はもちろん、高い安全性を持ち、お子様のいる家庭やペットがいる環境でも安心して使用できます。低臭: 刺激臭がほとんどなく、室内での作業も快適に行えます。
2.視覚効果とデザイン性
ミルクペイントの主な視覚効果は、ツヤのないマットで落ち着いた質感とアーリーアメリカンやアンティーク調にくすみがかった優しい色合いにあります。クリーミーで塗りやすく、二度塗り以上でよりきれいに仕上がり、専用のメディウムを使うことでクラッキング(ひび割れ)やダストメディウムによる白っぽい汚しなど、多彩な古びた風合いの表現が可能です。
3.施工性と安全性
ミルクペイントは、森永乳業のミルク原料を使用した高い安全性が最大の特徴であり、VOCが極めて少なく嫌な臭いがほとんどないため、小さな子どものいる家庭でも安心して室内で使用できます。また、施工性においてもクリーミーで伸びが良いためDIY初心者でも塗りやすく、水性でありながら乾燥後は耐水性を持つほか、メディウムを使えばクラッキングなどの特殊なテクスチャも再現しやすい塗料です。
4.向いている用途
- 椅子、棚、テーブル、フレームなどの木製家具や、植木鉢、空き缶などの雑貨のリメイク。
- VOCが極めて少なく嫌な臭いがほとんどないため、リビングや寝室などの室内での家具に向いています。特に「for WALL」シリーズは消臭・防カビ機能があり、壁面塗装に適しています。
- 屋外用の「for Garden」シリーズは、木製ラティス、柵、ベンチ、ガーデン雑貨など、庭やベランダで使用するアイテムの塗装に向いています。
- 木部や紙のほか、専用の下塗り剤(マルチプライマー)を使用することで、金属やモルタルなどにも塗装が可能です。
ポーターズペイント

1.特徴
一般的なペンキが「色とツヤ」で選ばれるのに対し、ポーターズペイントは「質感と色」で選びます。塗料の中に石英、大理石、石灰、鉄、銅、雲母(きらら)などの自然素材の粒子を混ぜ込んでいます。これにより、ただの「色」ではなく、本物の素材の風合いやテクスチャーを壁面に表現できます。
2.視覚効果とデザイン性
ポーターズペイントは、石英や大理石、雲母(きらら)などの粒子や素材感を塗料に含んでいるため、太陽光や照明の当たり方によって微妙な陰影と光の乱反射が生まれ、一日のうちで壁の表情が変化し、空間に深みを与えます。また、色彩においては、一般的な塗料よりもはるかに多い16色もの多色の顔料を使用することで、自然界に馴染むような、単色では表現できない深みと奥行きのある「ヒューマンメイド」な色彩を生み出します。
3.施工性と安全性
安全性については、シックハウス症候群の原因とされるVOC(揮発性有機化合物)を極力排除しており、セルフペイント向けの製品の多くがホルムアルデヒド放散等級の最高基準であるF☆☆☆☆を取得しています。さらに、セルフペイント向け製品は、鉛や水銀などの人体に有害な物質についても検査を行い不検出という結果が出ており、塗料特有の嫌な臭いもほとんどないため、小さな子どもやペットのいる家庭でも安心して使用できます。また、一部製品は不燃認定を受けていることも特徴です。施工性については、ローラーや吹き付けではなく、刷毛を使った手作業での施工が基本です。これは、塗料に含まれる石や石灰、金属などの本物の素材が持つ「質感」や刷毛のストローク(塗り跡)を生かし、光の当たり方で表情が変わる唯一無二のテクスチャを作り出すためです。水性塗料であるため比較的扱いやすく、においも少ないため室内での作業に適していますが、独特の風合いを引き出すために専用の刷毛の使用が推奨されており、美しい仕上がりには適切な下地処理や施工方法が求められます。
4.向いている用途
- リビングや寝室などの壁面や天井を、光の当たり方で表情が変わる独特のテクスチャ(刷毛目、陰影、本物の素材感)で仕上げたい場合に最適です。
- 既存のビニールクロスの上からのセルフペイントにも使用でき、一気に空間の雰囲気を変えたいリノベーションやリフォームに向いています。
- 外壁にも使用できる製品があり、建築物全体に洗練された質感を付与したい場合にも適しています。
- 「リキッドアイアン」のように、本物の鉄粒子を含み、酸を塗ることで本物の錆を発生させる特殊な仕上げが可能で、アンティークや経年変化の風合いを出したい家具や壁面に使用されます。
- 時が経つごとに味わいを増す塗料であるため、長く愛着を持って住む家づくりを考える方に向いています。
- 多くの製品がセルフペイントを推奨しており、講習を受けることで、プロとは違う味のあるオリジナルの仕上がりを、家族や仲間と作業そのものを楽しみたい方におすすめです。
まとめ
理想の部屋作りにおいて塗料は、かかせないアイテムの一つです。それぞれの塗料の特徴をふまえて、ご自身の求めるデザインや空気感、機能性が合うものを選んでいただきたいです。塗料は単なる色付けではなく、安全性と好みの質感から選ぶことで、より快適で個性的な部屋を実現し、生活をより豊かにしてくれるでしょう。
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