2023.08.26

マンションの遮音等級は、どれぐらいが標準?

マンションに住むうえで、音の問題は避けて通れません。マンションの防音を考える際にポイントになるのが、壁・床・窓の防音性能です。

これらの防音性能を示す指標として、「遮音(しゃおん)等級」という値があるのをご存じですか?

この記事では、この「遮音等級」について解説します。マンション内で騒音の被害者や加害者にならないために必要な遮音等級の目安と、リノベーションやリフォームで遮音性能を向上させる方法をご紹介。

マンション内の騒音が気になる方や、マンションの防音リノベーションをお考えの方は、ぜひ参考になさってくださいね。

遮音等級とは?

遮音等級とは「建物の防音性能を示す指標」です。壁、床、窓サッシのそれぞれに、遮音性能を示す等級があります。

遮音とは、文字通り「音」を「遮る」ことをいいます。外部からの音の侵入や、室内から室外への音の漏洩を防ぐのが遮音です。

防音には遮音の他に、音を吸収することで外に漏れるのを防ぐ「吸音」や、振動を抑えることで音の発生を抑制する「制振」「防振」といった要素があります。

防音は遮音がすべてではないものの、マンションでの生活音を防ぐことが目的の場合、遮音は非常に重要な要素となります。

①壁の遮音等級(D値)

壁の遮音等級は「D値」で表します。D値は人の話声やテレビの音声などの「空気伝播音」を、どれほど遮られるかを示す指標です。
D値が高ければ高いほど、遮音性能が高いとされています。

D値による遮音性能と音の伝わりの目安は、次の通りです。

出典:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」

マンションの戸境壁(隣の住戸との間の壁)の遮音等級は、通常D-55以上あればよいとされています。D-55という等級は、上の表で分かる通り、通常では人の話し声が聞こえないとされる程度。

ただし壁の遮音等級は、どのような音を防ぎたいかによって適正値が変わります。例えばピアノなどの楽器を演奏したい場合は、通常よりも高いD-60~65というレベルの遮音性能が必要でしょう。

実際にマンションの防音リフォームでD値を高めるためには、建物の躯体と下地ボードの間の空間に防音シートや吸音材を詰めるなどの方法がとられます。

②床の遮音等級(L値)

床の遮音等級は「L値」で示します。L値は、足音や床に伝わる衝撃音を、どれほど遮れるかを示す指標。L値の目安は以下の通りです。

出典:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」

ナイフやフォークなどを落とした時の軽量衝撃音(カツンという音)
こうした音をどれだけ防げるかを示す等級をLLといいます。

人が歩くときやエクササイズをしたときの重量衝撃音(「ドスン」という音)。
こうした音をどれだけ防げるかを示す等級をLHといいます。

これらは上階から下階に響きやすい音。
こういった音は、床の構造次第で軽減できる可能性があります。

軽量衝撃音は、フローリングやカーペットなどの床材によって軽減できます。
遮音性に優れているのはカーペットや畳ですが、デザイン的にはフローリングが人気です。近年のマンションは、多くが遮音フローリング(遮音等級LL-45~-40)を採用しています。

重量衝撃音は、コンクリートスラブの厚みによって遮音性が大きく左右します。
大人が静かに歩く足音は、スラブ厚180mm程度でもほとんど気になりませんが、子どもが走り回って遊ぶ足音に対応するには、200mm以上は必要です。

あるいは床の躯体と仕上げの床の間に100mm程度の空気層をつくったり、両者の間にグラスウールなどの緩衝材を詰めたり(浮床)といった二重床工法も、重量衝撃音の軽減に効果的です。

③窓サッシ 屋外の騒音

窓から入ってくる車や電車、通行人などの音は、サッシの隙間から入ってくることがあります。とくに道路や線路が近くにあるマンションは、防音性能にすぐれた窓サッシが必須です。

駅近または街中の場合は遮音等級T-1以上幹線道路や線路沿いはT-2以上のグレードの窓サッシがおすすめ。

ほかにも、窓ガラス自体が防音仕様の場合もあります。
レギュラータイプの窓ガラスは3mm厚の単板ですが、防音仕様の場合は5mm厚・8mm厚、あるいは二枚のガラスの間に緩衝材を挟んだタイプなどがあります。
ただし、防音ガラスもサッシの気密性が高くなければ、ほとんど意味がありません。

また、単板ガラスより複層ガラスの方が遮音性に優れています。複層ガラスの中でも「2枚でガラスの厚みの違うもの」「中空層(ガラスの間の空間)が真空になっているもの」は、より遮音性能が高くなります。

【立地・周辺環境】 車や電車の走行音

大型車両が通る幹線道路や線路沿いのマンションは、いくら壁を厚くしたり、防音サッシを設置したりしても無音という訳にはいきません。騒音が気になるようなら、幹線道路や線路が目の前にあるマンションは避けた方が賢明でしょう。

車や電車の音は気にならなくても、通行人の声や、近隣のコンビニ・スーパーの音が多い環境がストレスになる場合もあります。
自分はどんな音を不快に感じるかをよく考え、住まい探しを進めましょう。

一方で、繁華街に近い物件は外の喧騒をシャットアウトする必要性があることから、防音対策がしっかりされているケースも多く、室内は静かだという場合もあります。
やはり内見の際に、実際の音の聞こえ方を確認してみることが大切です。

【管理規約】 騒音トラブルを避ける工夫の有無

住み心地のよいマンションを決める際には、管理規約を事前に確認しましょう。

ペット禁止や楽器演奏不可といった内容が管理規約に含まれている場合、そのマンションの静かさを推し量る材料となります。
床材に遮音等級LL-45の遮音フローリングを使うことが決まっていれば、マンションの音トラブルへの厳しさを察することができます。
楽器を演奏したい場合は、楽器に制限がないか、演奏時間帯の決まりはないか、といった点も確認しましょう。

ただ、この遮音フローリングの規定には抜け穴があります。
フローリングを使う場合はLL45以上に限定されますが、フロアタイル等を使う場合はこの規定が適用されません。
全室フロアタイル仕上げという物件も決して珍しくはないため、注意が必要です。

ほかにも「過去に騒音トラブルはあったか?」「それはどんな内容だったのか?」も確認しておきたいところ。
住民のモラルを知るため、駐車場・駐輪場・ゴミ置場などの共用部の使用状況も内見で見ておきましょう。マナーが良くない物件は、音に関するルールも守られていない可能性があります。

さいごに

騒音と一口にいっても、壁から漏れ聞こえてくる人の会話やTV音声、上階から響いてくる足音や窓の外の喧騒と、その種類はさまざま。
快適な住環境のためには、壁や床、窓など、一つひとつ内見や不動産会社を通じてチェックしましょう。

中古マンションを探す際は、実際に住みはじめたあと後悔しないためにも、壁や床といった構造上の懸念点や間取り、管理規約などを確認することが重要です。

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