マンションの最上階は、なんとなくイメージが良いと思われる方が多いのではないでしょうか。
ですが、実際に住んでいる人の声を聞くと、エレベーターの待ち時間が長いといった意見や、夏の暑さを異常に感じる方も。
最上階の部屋は低層階の部屋に比べて分譲価格も高いことが多く、ネガティブな意見を聞くと、購入をためらってしまうのではないでしょうか。
そこでこの記事では、マンションの最上階に住むことのメリット・デメリットをいろいろな角度から調べてまとめてみましたのでぜひご覧ください。
マンションの最上階のメリットについて
マンションの最上階といえば、「上の階からの音が気にならなくて良い」「開放的で住み心地がよい」「高級感のあるイメージ」などといいイメージがあるのではないでしょうか。
ですが、実際のところはどうなのでしょう?イメージ通りいいことづくめの良物件なのでしょうか?
まずは、「マンションの最上階に住むメリット」を挙げてみます。
騒音のリスクが低い
マンションの最上階の第一の特徴は上階がないことです。
そのため、よくマンションでは騒音問題に悩まされる恐れがありません。
というのも、マンション住まいで多くの人が悩まされるのが”騒音問題なのです。
特に中層階は、上の階、下の階、左隣、右隣と四方から音が漏れ伝わるので、マンションの中でももっとも音害にさらされやすいでしょう。
中でも上階の音というのはもっとも気になりやすいのです。
足音、ものを落とす音、家電を作動させたときのモーターの振動などさまざまな音が伝わってきます。
上階が早起きだと、子どもの走り回る音で起きてしまう…なんてこともよくあるケースです。
最上階も、左右と下階からの音は伝わる可能性がありますが、もっとも気になる上階からの騒音ストレスの心配がないことは、大きなメリットと言えるでしょう。
プライバシーが保たれる
マンションの最上階となると、まわりに同じ高さの建物が少なく、どこかから見られているという心配がないのも利点です。
下層階だと通行人から室内が見えてしまったり、向かいのマンションの人と目が合ったりしますが、そんなことはなくプライバシーを保つことができるのです。
防犯面での安心感が高い
マンションの場合、低層階よりも高層階のほうが、防犯の面で安全性が高いのも大きなメリットと言えるでしょう。
以下のデータをご覧ください。
警視庁による統計で、侵入窃盗、つまり空き巣がどんな場所に入ったのかを割合をグラフにしたものです。
これによると、共同住宅が空き巣被害にあった件数を3階以下と4階以上で比較すると下記の数値となります。
〇3階建て以上:10.7%
〇4階建て以上:4.1%
と、2.5倍以上の差があることがわかります。
つまり、同じマンションでも階数が高いほうが空き巣に入られにくいというわけです。
出典:警察庁ホームページ「住まいる110番【侵入窃盗データ】」
高い階層の中でも最上階は、マンションによっては特に防犯設備も厳重である場合があります。
タワーマンションなどでは、エントランスに入る際にセキュリティシステムがあるだけでなく、最上階に上がるエレベーターや、最上階に到着した際にももうひとつのセキュリティを通過しなければフロアに入れない、というものもあり、より防犯性を高めています。
ただ、もちろん最上階が絶対に安心だということではありません。
日当たり、見晴らしが良い
最上階はまわりに視界を遮る建物が少ないため、日当たりも見晴らしもよく開放感にあふれているのが魅力的でもあります。
日中は朝から夕方まで日光が差し込むので、低層階にありがちな午前中は隣のマンションの影になるのでキッチンが薄暗い、洗濯物を干しても、日陰になっていしまう時間が長くてなかなか乾きにくい、といった悩みは無用です。
特に冬場は低層階に比べて暖かく、心地よく過ごせるでしょう。
また、眺望もよく遠くまで見張らせるので「花火が見える」「天気のいい日は遠い山まで見える」など、低層階では味わえない醍醐味もあります。
場所によっては「大混雑する人気の花火大会を、特等席でゆったり見物できる」「ロマンティックな夜景を毎晩独り占めできる」といった非日常を自宅に居ながら独り占めすることもできるのです。
資産価値が高い
マンション最上階の部屋には、さまざまなメリットが多いため、資産価値も高くなっています。
一般財団法人 資産評価システム研究センターによると、新築タワーマンションの最上階の価値は、最上階を100とした場合に平均で145.9、つまり1.5倍近いとのことです。
したがって売却する場合も比較的高く、早く売れることが多いようです。
そのため投資用として最上階を所有する人もいます。
また年数を経ても、低層階に比べて資産価値が下がりにくいのも特徴です。
分譲マンションにしばらく住んでから、売却して別のマンションに住み替えるという場合は、低層階だと築年数によっては購入時の2分の1、3分の1の価格でしか売れないことがあるのに対して、最上階はそこまで価格を下げなくても買い手がつくことが多いようです。
マンションの最上階のデメリットについて
マンションの最上階にはさまざまなメリットがあることを解説しましたが、一方で、マイナス面や注意すべき点もあります。
この章ではそのデメリットについても解説していきます。
最上階ならではの厚さ
日当たりがよく冬はぽかぽか暖かい最上階ですが、反面、夏になると暑さに苦しめられる物件もあります。
一日中日光を遮るものがないため熱が集まるだけでなく、屋根のコンクリートが熱をため込んで室内に伝えやすく、広いバルコニーがあればそこからの照り返しも考えられます。
場合によっては、エアコンをつけていてもなかなか涼しくならないこともあるといいます。
そのため最近は、屋根との間に断熱素材を入れたり、窓ガラスの遮熱性の高いものにしたりと、いった暑さ対策を施した物件もあります。
最上階の物件を検討する際には、暑さ対策がどの程度なされているかは必ず確認しましょう。
地震や災害のときのリスクが高い
マンションは、耐震構造であっても高層階になるほどやはり地震の揺れを感じやすい傾向があります。
また、もし実際に地震や火災などの災害にあった場合は外に逃げるにも下層階より時間がかかるというのが難点です。
そこまで深刻な災害でなくても、少しの揺れを感知したらエレベーターが止まるように設定されている場合も多く、そうなると復旧するまで待つか、長い階段を上り下りしなければならないというデメリットもあります。
エレベーターの待ち時間が長くて不便
エレベーターについては、災害時に限らず日常から待ち時間が長くて不便を感じるかもしれません。
最上階専用エレベーターがあるとか、下層階用と上層階用に分かれているという場合はよいのですが、全フロアに止まるエレベーターしかないマンションでは、外出のたびに1階から最上階まで上がってくるのを待たなければならず、待ち時間が長くなってしまいます。
しかも途中で乗り降りする人があれば、何分間も待たされることもあるでしょう。
そのため最上階の住人の中には、「外出するのが面倒」と感じる人もいるようです。
家賃・分譲価格が高い
最上階はマンションの中でも人気があるため、分譲価格もそのマンション内でもっとも高く設定されています。
賃貸の場合も、同じ間取りであっても下層階の家賃は安く、最上階は高い場合があるので要注意です。
ただ、前述したようにメリットも多いので、自分にとっての利点を差額分と比較して、納得できればこの項目は気にしなくてよいでしょう。
最上階ならではの騒音リスクもある
最上階では上の階からの騒音がないかわりに、別の騒音に悩まされることもあります。
壁の防音が十分でない場合は隣からの音漏れが気になるかもしれませんし、下の階の音が上に響くというケースもあるでしょう。
中でも最上階ならではの騒音リスクとして懸念されるのが、
●屋上にエアコンの室外機がまとめて設置されていて、その駆動音がうるさい
●屋上にアンテナなどが設置されていて、強風が吹くとそれが揺れてガタガタ音をたてる
●窓が広い・数が多いため、台風などのときに音や揺れが激しい
などです。
まわりが静かな分、余計にそれらの音が気になる恐れもあるので、事前にチェックが必要です。
屋上から侵入されやすい
最上階は低層階に比べて防犯性に優れていますが、空き巣などの被害はゼロではありません。
最近では、屋上に上がってそこから最上階の部屋のバルコニーに降り、窓を破って侵入する、といった手口も出てきているといいます。
警察庁の統計から、空き巣がどこから侵入するのかを見てみましょう。
3階建以下の低層マンションと4階建以上のマンションを比較した場合、3階以下の場合は半数は窓からの侵入です。
一方4階以上の場合はもっとも多いのは表玄関で半数以上を占めますが、窓からの侵入も約3割に及んでいます。
この中にはおそらく、屋上から降りてきての侵入も含まれるのではないでしょうか。
いずれにしろ、最上階でも低層階と同様に、玄関や窓の防犯には注意をしなければならない、といえるでしょう。
まとめ
マンションの最上階に住むことのメリット・デメリットについてご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にもう一度、そのメリットとデメリットをまとめておきましょう。
マンションの最上階に住むメリット
1.騒音のリスクが高い
2.プライバシーが保たれる
3.防犯面で安心感が高い
4.日当たり、見晴らしが良い
5.資産価値が高い
マンションの最上階に住むデメリット
1.最上階ならではの暑さ
2.地震や災害のときのリスクが高い
3.家賃・分譲価格が高い
4.最上階ならではの騒音リスクもある
5.屋上から侵入されやすい
これらを理解し、比較して自分にとってはメリットが大きいのか、またはデメリットのほうが気になってしまうのか、よく考えてみましょう!
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