2026.10.31
不動産

リノベーションで耐震補強は必要?耐震補強の判断やポイント、費用について解説

中古リノベーションをご計画の際は、住まいの耐震性を見直すのに適したタイミングでもあります。

特に、1981年5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の物件の場合、現行基準を満たしていない可能性が高く、今後起こりえる大地震に備えるための耐震診断と調査結果に応じた補強工事が必要です。

今回は、耐震性向上リノベーションが必要かどうかの判断ポイントや耐震補強の方法、工事費用の目安をわかりやすく解説します。

miyabiでは、ワンストップリノベーションでは、物件探しから、設計・施工、資金計画まで一貫したサポート体制で、耐震性を含めた快適で安全な家づくりが可能です。

リノベーションで耐震補強は必要?

リノベーションを行う際、必ずしもすべての住宅で耐震補強が必要になるわけではありません。

しかし、建物の築年数や構造、これまでのメンテナンス状況によっては、耐震性に不安がある場合もあります。

まずは、住宅の耐震基準について確認しておきましょう。

旧耐震基準と新耐震基準の違い

住宅の耐震性能を考えるうえで重要なのが、建築基準法で定められている耐震基準です。

日本では1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法の耐震基準が大きく改正されました。この改正を境に、それ以前の基準を「旧耐震基準」、以降の基準を「新耐震基準」と呼びます。

それぞれの基準には、次のような違いがあります。

旧耐震基準(1981年5月31日以前)

震度5程度の中規模の地震で、建物が大きな損傷を受けないことを想定した基準です。大規模な地震に対する安全性については、現在の基準と考え方が異なります。

新耐震基準(1981年6月1日以降)

震度5強程度の中規模の地震ではほとんど損傷せず、震度6強から7程度の大規模な地震でも、建物が倒壊・崩壊しないことを目標とした基準です。

また、木造住宅については2000年(平成12年)にも建築基準法の改正があり、地盤に応じた基礎の設計や柱と梁などの接合部、耐力壁の配置に関する規定が明確化されました。

そのため、1981年以降に建てられた住宅であっても、2000年以前の木造住宅については、建物の状態を確認することが大切です。

築年数だけで耐震性は判断できない

築年数は耐震性を確認する際のひとつの目安になりますが、築年数だけで建物の安全性を判断することはできません。

例えば、同じ築30年の住宅であっても、建物の構造や施工状況、これまでの修繕・メンテナンスの内容によって耐震性能は異なります。

また、過去に増築や間取り変更を行っている場合、建物全体のバランスが変わっている可能性もあります。

そのため、リノベーションを検討する際には、建築当時の図面や確認済証などの資料を確認するとともに、必要に応じて専門家による耐震診断を受けることをおすすめします。

耐震補強が必要かどうかを判断するポイント

では、どのような住宅で耐震補強を検討した方がよいのでしょうか。

ここでは、耐震性を確認する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。

建築された時期と耐震基準を確認する

まず確認したいのが、建物がいつ建てられたのかという点です。

特に、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があるため、耐震診断を検討しましょう。

また、2000年以前の木造住宅についても、現在の基準と照らし合わせて耐震性を確認することが大切です。

なお、建物の完成年月だけでは適用された耐震基準を正確に判断できない場合があります。建築確認申請の時期なども関係するため、確認済証や建築確認台帳などの資料を確認するとよいでしょう。

基礎や柱、壁などの状態を確認する

建物の耐震性は、柱や梁、壁、基礎など、さまざまな部分によって支えられています。

例えば、次のような状態が見られる場合は注意が必要です。

・基礎部分に大きなひび割れがある
・柱や土台に腐食やシロアリ被害がある
・雨漏りによって木材が劣化している
・外壁や内壁に大きなひび割れがある
・建物に傾きや不自然な沈下が見られる

ただし、ひび割れがあるからといって、必ずしも耐震性に問題があるとは限りません。ひび割れの位置や大きさ、原因によって判断が異なります。

目に見える部分だけで判断せず、必要に応じて専門家による調査を行いましょう。

過去の増築や間取り変更の有無を確認する

過去に増築や大規模な間取り変更を行っている住宅も、確認しておきたいポイントです。

例えば、壁を取り払って広いリビングにしたり、増築によって建物の形状が変わったりすると、建物全体の耐震バランスに影響することがあります。

特に、耐震性を確保するために必要な壁が撤去されている場合は、補強が必要になる可能性もあります。

リノベーションで間取りを大きく変更したい場合は、デザインや使い勝手だけでなく、構造上問題がないかを事前に確認することが大切です。

専門家による耐震診断を受ける

建物の耐震性を正確に把握するためには、専門家による耐震診断が有効です。

耐震診断では、建物の図面や現地調査をもとに、基礎や壁の配置、柱や梁の状態、建物の劣化状況などを確認し、地震に対する強さを評価します。

木造住宅では、診断結果を「上部構造評点」という数値で評価する方法があります。

一般的な評価の目安は次のとおりです。

上部構造評価     耐震性の評価

1.5以上        倒壊しない
1.0以上1.5未満       一応倒壊しない
0.7以上1.0未満       倒壊する可能性がある
0.7未満        倒壊する可能性が高い

この数値は木造住宅の耐震診断で用いられる評価基準です。マンションなどの鉄筋コンクリート造では、異なる診断方法や評価指標が用いられます。

耐震診断を行うことで、どの部分に補強が必要なのか、どのような工事が適しているのかを具体的に検討できます。

リノベーションでできる耐震補強の方法

耐震診断の結果、補強が必要と判断された場合には、建物の構造や状態に合わせた工事を検討します。

ここでは、主な耐震補強の方法をご紹介します。

耐力壁や筋交いを設置する

木造住宅の耐震補強で代表的な方法のひとつが、壁の補強です。

建物には、地震による横方向の力に抵抗する「耐力壁」があります。耐力壁を増やしたり、既存の壁を補強したりすることで、建物の強度を高めます。

具体的には、筋交いを設置したり、構造用合板などを用いて壁を補強したりする方法があります。

ただし、壁を増やせばよいというわけではありません。建物全体のバランスを考えながら、適切な位置に配置することが重要です。

基礎を補強する

住宅を支える基礎部分も、耐震性に大きく関係しています。

古い木造住宅では、現在一般的に採用されている鉄筋コンクリート造の基礎とは異なる仕様になっている場合があります。

建物の状態によっては、既存の基礎を補強したり、必要な部分に新たな基礎を設けたりする方法があります。

基礎の状態や地盤の状況によって適切な工法が異なるため、事前の調査と補強計画が重要です。

柱や梁、接合部を補強する

地震によって建物に大きな力が加わった際、柱や梁、柱と梁をつなぐ接合部が適切に抵抗できることも重要です。

そのため、金物を取り付けて接合部を補強したり、劣化した柱や土台を補修・交換したりする方法があります。

特に古い木造住宅では、現在の基準と比べて接合部の補強が十分でない場合もあるため、診断結果に応じて適切な対策を検討します。

屋根を軽量化する

屋根が重い住宅では、地震の際に建物にかかる揺れの影響が大きくなる場合があります。

そのため、重い瓦屋根を軽量な屋根材に変更することで、建物にかかる負担を軽減する方法もあります。

ただし、屋根を軽くするだけで耐震性が十分に確保できるわけではありません。壁や基礎などを含めて、建物全体のバランスを考えることが大切です。

マンションの場合はどうする?

マンションの場合は、戸建て住宅とは耐震補強の考え方が異なります。

マンションの耐震性は、柱や梁、耐力壁などを含めた建物全体の構造によって確保されています。

そのため、室内の専有部分をリノベーションするだけで、建物全体の耐震性能を高めることは基本的にできません。

建物自体の耐震性に不安がある場合は、管理組合などを通じて耐震診断や耐震改修の実施状況を確認することが大切です。

また、マンションのリノベーションでは、構造上重要な柱や梁、壁などを撤去・変更できない場合があります。

中古マンションを購入してリノベーションする場合は、購入前に建物全体の耐震性や修繕履歴なども確認しておくと安心です。

耐震補強にかかる費用相場と判断のコツ

耐震補強を検討する際に気になるのが、どのくらいの費用がかかるのかという点ではないでしょうか。

耐震補強の費用は、建物の構造や築年数、劣化状況、補強する範囲や工法によって大きく異なります。

耐震診断にかかる費用

耐震補強を行う前には、まず建物の耐震性を確認するための診断が必要です。

耐震診断の費用は、建物の規模や構造、図面の有無、調査内容などによって異なります。

また、自治体によっては耐震診断を無料で実施したり、費用の一部を補助したりする制度を設けている場合があります。

特に旧耐震基準の木造住宅などは、補助制度の対象となる可能性があるため、事前に自治体の窓口で確認してみましょう。

耐震補強にかかる費用

耐震補強工事の費用は、建物の状態や補強内容によって異なります。

例えば、壁の補強を中心に行う場合と、基礎や柱、屋根なども含めて大規模な補強を行う場合では、工事費用に大きな差が生じます。

国土交通省が紹介しているモデルケースでは、築50年・木造2階建て・延べ面積約100㎡の住宅を耐震改修する場合、費用の目安は約224万円とされています。

ただし、これはあくまで特定の条件に基づいたモデルケースです。実際の費用は建物の状態や工事内容によって変わるため、個別に調査・見積もりを行う必要があります。

また、リノベーションと同時に耐震補強を行う場合は、壁や床などの解体・復旧工事をまとめて計画できることもあります。

工事の範囲やタイミングを整理しながら、全体の予算を検討することが大切です。

耐震補強に利用できる補助金や助成制度

耐震診断や耐震補強工事については、国や自治体による補助制度が設けられている場合があります。

例えば、次のような支援制度があります。

・耐震診断にかかる費用の補助
・耐震補強設計にかかる費用の補助
・耐震改修工事にかかる費用の補助

ただし、対象となる建物の築年数や構造、診断結果、工事内容などの条件は自治体によって異なります。

また、補助金の申請前に契約や工事を始めてしまうと、対象外になる場合もあります。

耐震補強を検討する際は、工事を始める前に自治体の制度や申請条件を確認しておきましょう。

耐震補強を視野に入れたリノベーションに関するQ&A

Q. 新耐震基準で建てられた住宅なら耐震補強は必要ありませんか?

新耐震基準で建てられた住宅であっても、必ずしも耐震補強が不要とは限りません。

建物の施工状況や劣化、過去の増改築、地盤の状態などによって耐震性能は異なります。

特に2000年以前の木造住宅については、現在の基準と照らし合わせて確認することも大切です。

築年数だけで判断せず、建物の状態に応じて耐震診断を検討しましょう。

Q. 築40年以上の中古住宅でもリノベーションできますか?

築40年以上の住宅であっても、建物の状態によってはリノベーションが可能です。

ただし、築年数が古い住宅では、耐震性だけでなく、基礎や構造部分の劣化、雨漏り、シロアリ被害なども確認する必要があります。

購入を検討している場合は、物件の見た目や間取りだけでなく、建物の状態も含めて判断することが大切です。

Q. 耐震補強と間取り変更は同時にできますか?

耐震補強と間取り変更を同時に行うことは可能です。

むしろ、リノベーションに伴って壁や床などを解体するタイミングで耐震補強を計画することで、工事を効率的に進められる場合があります。

ただし、建物の構造によっては撤去できない壁や柱があるため、希望する間取りが実現できるかどうかは事前の確認が必要です。

デザインや使い勝手だけでなく、構造上の安全性も考慮した計画を立てましょう。

Q. マンションでも耐震補強はできますか?

マンションでも耐震改修は可能ですが、基本的には建物全体の構造に関わる工事となります。

専有部分のリノベーションだけで建物全体の耐震性を高めることは難しく、管理組合や管理会社を通じて、建物全体の耐震診断や改修状況を確認することが重要です。

中古マンションを購入する際は、築年数だけでなく、耐震診断や大規模修繕の履歴なども確認しておくとよいでしょう。

Q. 耐震補強はリノベーションの前と後、どちらに行うべきですか?

耐震補強は、基本的にリノベーションの計画段階で検討することをおすすめします。

先に内装や間取りの工事を進めてしまうと、後から耐震補強が必要になった際に、完成した壁や床を再度解体しなければならない場合があります。

そのため、工事を始める前に建物の状態を確認し、必要な耐震補強とリノベーションの内容をまとめて計画することが大切です。

さいごに

リノベーションを検討する際には、内装や設備、間取りだけでなく、建物そのものの耐震性についても確認することが大切です。

特に築年数の古い住宅では、建築された時期や構造、これまでのメンテナンス状況によって耐震性能が異なります。

耐震補強が必要かどうかは、築年数だけで判断するのではなく、専門家による耐震診断などを通じて建物の状態を把握したうえで検討しましょう。

また、耐震補強とリノベーションを同時に計画することで、住まいの安全性と暮らしやすさの両方を考えた住まいづくりにつながります。

miyabiでは、中古物件探しから設計・施工まで、住まいづくりをトータルでサポートしています。

中古住宅の購入やご自宅のリノベーションをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

これからの暮らしを見据えた、安心して長く住み続けられる住まいづくりを一緒に考えていきましょう。

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