2021.08.21
リノベーション

リノベーションで間取りを考えるにあたって大事なこと

今回は、リノベーションの間取り変更で大事な「壊せる壁、壊せない壁」についてお話ししたいと思います。
皆様は、ご自身の住まわれている建物がどのような構造でできているかご存じでしょうか。
建物の構造には様々な種類があり、柱や梁と同様に壁自体が建物を支える重要な構造体となっていることもあるのはご存知でしょうか。

以前までは、リビングとダイニングは別の部屋として分けて使うことを想定した間取りが多くありました。
最近では、リビングダイニングを大きなひとつの部屋として使う間取りが多くなってきています。家族全員がリビングでくつろげる空間をイメージされる方が大変増えております。

「リビングを大きく使いたい」
単純な部屋数よりも、くつろげる空間の広い間取りが人気を博しているのが現状です。

そこで間取り変更を伴うリノベーションをご検討の際、とても重要になってくるポイントが
「壊せる壁と壊せない壁」になります。

 

戸建て住宅の場合

戸建て住宅では主に
「木造軸組工法(在来工法)・・・木製の柱と梁で軸組を作り建物を支える構造
「木造枠組壁工法(2×4工法)」・・・壁で荷重を支える面を作り、建物を支える構造
「鉄骨造」・・・鉄骨の柱と梁で軸組を作り建物を支える構造
「ALC造」・・・鉄骨と軽量気泡コンクリートで建物を支える構造

上記の種類が見られます。
ほとんどの木造住宅は在来工法か2×4工法のどちらかで施工されており、どちらの工法かによって壊せる壁、壊せない壁が大きく変わってきます。

在来工法の場合

・筋交いのある壁
・耐力壁となっている壁

解体したり移動したりすることは大変難しいです。
逆に言えば、「筋交いがなくまた耐力壁となっていない壁」に関しては解体したり移動したりすることができるということになります。
その見分け方としては、図面を精査して構造計算を行ったり確認したりする必要があります。

2×4工法の場合

一般的に2×4工法の場合は、既存の壁の移動、解体はできないと考えるのが良いとされています。
柱や梁という軸ではなく、壁自体の面で建物を支えているため壁の移動や解体を行ってしまうと著しく建物の強度を下げることにつながるためです。
リノベーションでの大きな間取り変更には向かない構造と言えます。

戸建て住宅の間取り変更を行う場合は、その建物の構造をしっかりと調べる必要があるためプロに相談し判断を仰ぐのが一番と言えるでしょう。

マンション住宅の構造について

マンションでは主に「RC造」と言う表記を目にします。

これは「鉄筋コンクリート造」を意味するもので、鉄筋で補強したコンクリートを建物の骨格にした構造物のことを指します。
「RC造」以外では、戸建住宅でも紹介した「鉄骨造」や「ALC造」の他に、
「SRC造」(鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせてより強固にした構造で主に高層ビルや高層マンションの用途として使われる)があります。
「RC造」の建物構造は大きく分けて、「壁式構造」と「ラーメン構造」の2種類に分けることができます。

「壁式構造」とは

柱や梁の代わりに耐力壁と呼ばれる鉄筋コンクリートの壁で建物を支える構造のことを言います。
主に階層が5階以下の低層マンションで用いられている構造です。
ラーメン構造では目立ちがちな柱型や梁型をなくしすっきりした空間をつくることができます。
しかしながら、耐力壁となる部分には窓や建具等の開口は設けにくく、また耐力壁の移動はできないため間取り変更が難しいというデメリットもあります。
特に㎡数の広い住戸では住戸内に数か所の耐力壁が存在している場合がほとんどです。
そのためラーメン構造に比べて間取りの自由度は制限されます。

「ラーメン構造」とは

マンションといえばRCラーメン構造と言えるほど多くのマンションで採用されている構造で柱と梁で建物の荷重を支える構造となります。

階層が5階以上となる大規模なマンションでも採用されているように強固な建物を作ることができ、耐力壁をなくし(少なくし)室内空間を大きく取ることができます。

しかしながら、建物の荷重をささえる柱や梁は大きく室内空間に出っ張ることが多くなってしまうため室内に凹凸が多くなるというデメリットもあります。

特に梁が交差する部分や柱と梁が交わる部分にはキッチンやユニットバスを設置しづらく空間を圧迫するように見えます。

RC造マンションにおける壊せる壁、壊せない壁のポイント

RC造マンションにおいて、壊せる壁のポイントは

・壁厚が薄いこと
・コンクリート造ではないこと

の2点が大きなポイントとなります。
60mm~90mmほどの厚みの壁は間仕切り壁と言ってほとんどが解体可能である事が多いです。
反対に壁の厚みが150mm以上ある場合は注意が必要です。
150mm以上の厚みの壁は躯体と呼ばれるマンションの構造体になっている可能性が高いと考えられるからです。
壁を叩いてみてコツコツとコンクリートを叩いているような感覚がした場合もマンションの構造体になっている可能性が高いです。
これらの壁は壊すことができません。
リノベーションを考える上で間取り計画は生活を左右するとても重要なポイントになります。
特にリノベーションでは壊せない壁をどのように活かしていくかというところが工務店の提案の腕の見せ所だと思います。

施主様ご自身も柱や梁の位置を把握しておいていただくだけでも間取り提案をとてもスムーズに落とし込めるかと思います。

そもそもご自宅の構造などのようなものでどのような間取り変更が可能なのかどうか分からないという方でもぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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