リノベーションにはかかせないタイル貼り。
リノベーションにおいてタイルが人気を集める理由は、その多様なデザインと機能性にあります。モダンなデザインからクラシックなデザインまで、多種多様なスタイルに対応できるタイルが登場しています。空間全体の雰囲気をガラリと変えることもできるので、個性を表現するための効果的な手段として活用できます。
今回はそんなタイルについてご紹介させていただきます。タイルを使いたいけどどのように使うかで迷ったとき、ぜひ参考にしてみてくださいね!
リノベーションでよく使われるタイルの種類

磁気質タイル
磁器質タイルは、1300℃以上の高温で焼成されているため、非常に硬く丈夫なのが特徴です。吸水率が1%以下と極めて低く、水や汚れに強いため、浴室やキッチンなどの水回りはもちろん、外壁や玄関土間、床全般まで幅広く使用できます。
せっ器質タイル
せっ器質タイルは、硬さや吸水率において磁器質と陶器質の中間に位置する素材です。表面に凹凸があり、レンガのような素朴な風合いを持つものが多く見られます。その凹凸により滑りにくいため、玄関土間やテラスの床、外壁などの屋外・半屋外での使用に適しています。
陶器質タイル
陶器質は低温で焼成されるため、素材が柔らかく、吸水率が高い(22%以下)のが特徴です。豊かな色合いや多彩な柄を美しく表現できる意匠性の高さが魅力ですが、一方で衝撃には弱いという性質を持ちます。そのため、強度が求められる床には不向きであり、主にトイレや洗面所など内装の壁材として使用されます。
リノベーションで空間のアクセントとして選ばれる代表的なタイルの種類
モザイクタイル

1辺が5cm以下の小さなタイル。ガラス製、陶器製、大理石調など素材も豊富。洗面台の立ち上がり、キッチンの壁、ニッチのアクセント。レトロで可愛らしい雰囲気や、モダンな演出が得意です。
サブウェイタイル

長方形(主に15cm×7.5cm程度)のタイル。元々はNYの地下鉄で使われていた形です。キッチンの壁やカフェ風のインテリアに。白の艶あり・馬踏み目地(レンガ積みのような貼り方)が王道です。
大判タイル(大理石調・ストーン調)

60cm角などの大きなタイル。目地が少なくなるため、空間が広く高級感があるように見えます。リビングの床、ホテルのような洗面所、広い玄関ホールによくつかわれます。
ウッドタイル(木目調タイル)

木の質感を再現した細長いタイル。 水に強いため、木の雰囲気は欲しいけれど水濡れが気になる洗面所やキッチン、ペットがいる部屋の床などに最適です。
タイルを張るときの施工ポイント
リノベーションでタイルを貼る際は、新築とは異なり「既存の状態」に合わせる必要があるため、いくつか独特な注意点があります。仕上がりの美しさと耐久性を左右する、重要な5つの施工ポイントをまとめました。

下地が命
リノベーションで最も重要なのが、タイルを貼る前の壁や床の状態です。 下地が凸凹していると、タイルの段差ができたり、割れの原因になります。パテ処理などで平らにする工程が不可欠です。 既存の古いタイルの上から新しいタイルを貼るタイル・オン・タイルという工法の場合は解体費用や騒音を抑えられますが、厚みが出る(部屋が数ミリ狭くなる、ドア枠と干渉する点に注意が必要です。また、水回りの場合、下地の防水シートや防水塗装が劣化していないか確認が必要です。
適材適所のタイル選定
床は衝撃や摩耗に強い磁器質またはせっ器質を選んでください。(※陶器質はNG)壁は陶器質はデザインが豊富でおすすめです。ただし、キッチンのコンロ周りは油汚れが染み込みにくい施釉(せゆう=釉薬がかかっているもの)を選ぶと掃除が楽です。また、 広い面に小さいモザイクタイルを貼ると、目地が多くなり掃除が大変になることがあります。
割り付けの計画
いきなり貼り始めるのではなく、どこから貼り始めて、どこで終わるかを計算します。 壁の端っこに、極端に細いタイルが入ると見栄えが悪くなります。中心から割り出して、両端に均等な大きさのタイルが入るように調整します。 タイルの目地とコンセントの位置がうまく合うように調整すると、プロのような仕上がりになります。
見切りと端の処理
タイルを貼った部分と、クロスやフローリングとの境目の処理です。 タイルの断面(小口)が見えないように、ステンレスやアルミ、真鍮などの見切り材を入れると、角が保護され、見た目もシャープになります。少しコストは上がりますが、役 角専用にL字型に加工されたタイルを使う方法もあります。
目地の色選び
タイルの目地は、単なる隙間埋めではありません。部屋の印象とメンテナンスの8割は目地で決まると言っても過言ではない、非常に重要な要素です。
タイルの色に対して、どのような色の目地を合わせるかで空間の印象がガラリと変わります。
タイルと同系色にしてなじませ、すっきりとした雰囲気にしたり、タイルと反対色か濃い色にしてタイルを際立たせることでカフェ風やインダストリアルな雰囲気を作ることもできます。汚れを目立たせたくない場合はグレー系がおすすめです。
目地幅で選ぶ
タイルの隙間を何ミリにするかで、高級感やレトロ感が変わります。
眠り目地・突き付け(0〜1mm)は ほとんど目地を見せない貼り方。石目調のタイルなどで、一枚の大きな壁のように見せたい高級感ある演出に向きます。(※タイルの寸法精度が高くないとできません)
細め(2〜3mm)は 標準的でスッキリした印象。モダンで都会的なインテリアに合います。
太め(5〜8mm以上)は あえて目地を太くすることで、レトロで温かみのある、手作り感が出ます。テラコッタタイルや、クラフト感のあるタイルにおすすめです。
タイル張りのメリットデメリット
メリット
高級感とデザイン性
焼き物特有の温かみや、石目調、木目調など、ビニールクロスなどには出せない本物の質感があります。表面の凹凸や光の反射により、空間に奥行きとアクセントが生まれます。
優れた耐久性・耐水性
硬度が高いため、ペットの爪による傷や家具の引きずり傷がつきにくいです。 紫外線による変色や経年劣化が少なく、長い目で見ると張り替えの頻度が低いため経済的です。 キッチン、洗面所、トイレなどの水回りに適しています。焼き物特有の温かみや、石目調、木目調など、ビニールクロスなどには出せない本物の質感があります。表面の凹凸や光の反射により、空間に奥行きとアクセントが生まれます。
お手入れのしやすさ
タイルそのものは吸水性が低いため、調味料や油をこぼしてもサッと拭き取れます。静電気が起きにくく、ホコリが付着しにくいのも特徴です 。
デメリット
初期費用が高い
クロスやクッションフロアに比べ、材料費が高く、職人による専門的な施工が必要なため、工賃も高くなります。乾燥時間が必要なため、工事に日数がかかります。
目地の汚れ
タイル自体は汚れませんが、タイルとタイルの間の目地材(セメントなど)は汚れが染み込みやすく、放置するとカビの原因になります。
「冷たさ」と「硬さ」
熱伝導率が高いため、冬場に裸足で触れるとかなり冷たく感じます。硬いので、食器やスマホを落とすと高確率で割れます。クッション性がないため、長時間立ち続けるキッチンなどでは足が疲れやすい場合があります。
まとめ
タイルは焼き物特有の揺らぎや、石の重厚感、そして光を受けた時の陰影。これらは、ビニールクロスでは決して味わえない本物の質感として、日々の暮らしに豊かさを与えてくれます。確かにコストや冷たさといったデメリットはありますが、それを上回るほどの愛着が湧くのもタイルの魅力です。毎日目にするキッチンや、お客様を迎える玄関など、ここはこだわりたいという場所にポイント使いするだけでも、空間のグレードは格段に上がります。ぜひ、あなただけのお気に入りの一枚を見つけて、素敵な住まい作りを実現してください。



