崩れそうなレンガ造りの家。
2023.01.14
不動産

新耐震基準とは?旧耐震基準との違いや確認方法について

地震大国の日本では、度重なる大規模な震災から教訓を経て、耐震基準は度々の改正を重ねてきました。
家族の命を守り、さらには震災後も生活の場として存在しなくてはならない重要なお家。
今回は耐震基準について、どのような定めが設けられているのか、これから家を建てる方、購入を検討されている方には必ず知っておいてほしい知識を解説していきます。

新耐震基準とは?

1981年6月から施行された新耐震基準は「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6から震度7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という2020年の現在でも基準とされている耐震基準を義務付ける改正が行われました。
理由としては1978年に発生した宮城県沖地震の家屋倒壊の被害が多かったことが挙げられます。マグニチュードは7.4、最大震度を観測した仙台市では震度5の地震でした。被害は死者が28名、建物の全半壊は7.400戸にも上がりました。
この地震から教訓を得て、より厳しい耐震基準に引き上げが行われたのです。

旧耐震基準と新耐震基準の違いは?

つづいては、旧耐震基準違いについて解説していきたいと思います。
先ほど新耐震基準について説明しましたが、旧耐震基準とはどこが違うのでしょうか。

1.震度5程度の地震に対する耐震
新耐震基準では、震度5程度の地震に対して部材の各部が損傷を受けないことが条件であると決められていましたが、旧耐震基準では震度5程度の地震に関しては倒壊または崩壊がなければ良いという基準でした。
旧耐震基準の建物が震度5程度の地震を受けたときに、損傷を受けやすいということです。
近年、震度5程度の地震が年に数回起きることも珍しくないので、旧耐震基準では大規模地震が起こらずとも建物が損傷を重ねてしまい、危険に陥る可能性がないとは言えません。

2.震度6以上の地震に対する耐震
また、新耐震基準では震度6~7程度の地震にも言及があり、その程度の地震を受けても崩壊しないことが定められていました。
一方で旧耐震基準では震度5程度までしか言及されておらず、いわゆる大地震については何も定められておりません。
これは旧耐震基準の建物に住んでいる場合、大地震に対して脆い可能性が高いということです。
2011年には東日本大震災が起きており、2016年には熊本大地震もありました。
日本に住む私たちにとって、大地震は避けては通れない災害です。新耐震基準で大地震に対しての基準が定められたというのはとても重要です。

3.税制の違い
新耐震基準と旧耐震基準には、税制の違いがあります。
新耐震基準の建物は税制優遇され、住宅ローン減税を受けることができます。
住宅ローン減税とは住宅を新築、取得もしくは改修する際に組むローンの各年末におけるローン残高の1%を所得税もしくは住民税から10年控除するというものです。
この住宅ローン減税では、木造など非耐火住宅では築20年以内、マンションなど耐火住宅では築25年以内というのが減税を受ける条件となっていました。
ですが、税制改正により新耐震基準を満たす建物であれば築年数に関係なく、「耐震基準適合証明書」があれば住宅ローン減税を受けられるということになりました。
耐震基準適合証明書とは、新耐震基準を満たすことを証明する書類です。
この耐震基準適合証明書を取得すると、登録免許税の減額、不動産取得税の減額、地震保険の耐震診断割引なども受けられることができるようになります。

まとめると、新耐震基準の建物はそれを取得する際や保有している際にかかる税金の減額をより多く受けることができるという点が旧耐震基準との税制上の違いとなります。

1981年に建築された物件は新耐震基準になるの?

新耐震基準について解説しやすいこととして、新耐震基準と旧耐震基準の見分け方があります。

建築確認された日はがいつなのかによります。
1981年6月1日に建築基準法が改正されましたので、1981年6月1日以降に建築確認がされた建物は新耐震基準を満たすことになります。
そのため、1981年に建築確認がされた建物であっても6月以前に建築確認がされていた場合には実質的に新耐震基準を満たさない可能性が高いので注意してください。
建築基準法の改正が1981年とだけしか覚えていないと、新耐震基準を満たさない建物もあるので6月というキーワードも忘れないようにしましょう。

また先ほどから「建築確認された日」という言葉を用いていますが、そこも大きなポイントです。建築確認された日というのは、建物の建築に着工する前にその計画が建築基準法に適合するのかどうかが審査され、内容が確認された日のことを言います。
建物が完成した年月日を示す「竣工日」ではないことを気を付けましょう。
もし竣工日が1981年6月以降であっても建築確認された日が1981年6月より前であれば実質的に新耐震基準を満たさない可能性が高いので気をつけましょう。

また、もう一点注意すべき点があります。
それは登記上の建築の日付が1982年1月1日以降でえある建物は、税制改正によって税法上は新耐震基準を満たすとみなすと決まったことです。
そのため1982年以降に竣工された建物は、税制上新耐震基準であるとみなされることになります。
しかし、建築確認された日から竣工日までの間は普通木造一戸建てでは4ヶ月程度、マンションは規模にもよりますが、1年から1年半程度の時間を要するため、1982年1月以降に竣工されている場合でも設計上新耐震基準を満たさない場合がでてきます。
設計上新耐震基準を満たすのか税制上新耐震基準を満たすのかは区別が必要です。

新耐震基準の見分け方を解説していきましたが、例外もあるので注意が必要です。
新耐震基準を満たすような建物になるように改修工事を施し証明書を発行してもらえれば、1981年6月日以前に建築確認された建物でも新耐震基準の建物になります。

①1981年6月1日以降に建築確認された建物は新耐震基準を満たすこと
②1982年1月1日以降に竣工されていればその建物は税制上新耐震基準を満たすこと
③竣工日しか書いていない場合、木造一戸建てでおおよそ1981年の10月以降、マンションでは1982年6月から1983年以降を1つの基準として設計上新耐震基準の建物かを見極めることができます。(ただしあくまで目安なので再確認が必要です)
④新耐震基準の証明書を取得すれば、1981年6月以前でも新耐震基準の建物と認められる

新耐震基準の物件は本当に地震に強いの?

新耐震基準は、旧耐震基準より理論的には地震に対する強度の面で上回っているということを確認しましたが、実際に旧耐震基準より新耐震基準の方が強いといえるのでしょうか。
平成7年の阪神淡路大震災と平成28年の熊本地震の被害状況を例にとって確認していきたいと思います。

1.阪神淡路大震災について
まずは阪神大震災を確認します。阪神淡路大震災は、平成7年に兵庫県南部で発生したマグニチュード7.3の地震で、「平成7年阪神淡路大震災調査委員会中間報告」という資料のデータを参照して、建築年別にみていきます。

まず、1981年までに建てられた建物(大部分が旧耐震基準の建物)と1982年以降に建てられた建物(大部分が新耐震基準の建物)の2つに分けてみます。
すると1981年までに建てられた建物は約29%が大破以上、約37%が中・小破、約34%が軽微な被害もしくは無被害でした。

一方で、1982年に建てられた建物は、約8%が大破以上、約16%が中小破、約75%が軽微な被害、もしくは無被害でした。

このデータから一目瞭然で分かるように、新耐震基準の建物の方が被害の大きさが小さくなっていることがわかります。
震度7を観測するような地震になるとその程度の大きさを想定していない旧耐震基準の建物は大きな被害を受けやすくなります。
大破以上の建物の割合は旧耐震基準に比べて新耐震基準は3~4分の1に抑えられ、中・小破の建物の割合も半分に抑えられているので、新耐震基準の建物の方が大幅に地震に強くなっているといえます。
また、逆の視点から見ると、約3割の建物が大破以上の被害を受けてしまう旧耐震基準の建物は、これから起こると思われる大震災の可能性を考えると危険であるといえるでしょう。

旧耐震基準の物件の対応は?

旧耐震基準の中古木造住宅、中古マンションも現在は流通しています。それらを購入する際には、何に気を付けたら良いのでしょうか。
新築住宅は設計時に地震に対する強度を計算し、建築されます。しかし年月を経るごとに劣化し、耐震強度が低下するのは致し方ないことです。

そこで中古住宅を購入する際には、現状の耐震強度を知るために建物耐震診断を行うことをお勧めします。そうすることで適切な耐震補強工事などを施し安心して居住することができるのです。

さいごに

今回は、旧耐震基準と新耐震基準の違いについて確認してきました。
実際の地震による被害データや税制上の優遇などの点から見ても、現在では新耐震基準の建物の方がメリットは多いということがはっきりとわかりました。
新築のマンションなどを購入する場合には新耐震基準を満たすかどうかを気にする必要はありませんが、中古の不動産の購入を考えている方は、新耐震基準を満たしているかどうかを十分に注意し、旧耐震基準の建物の場合には、建物耐震診断を行うのが良いでしょう。

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