住宅には寿命があり、長く住み続けるためには適切なメンテナンスや改修工事が不可欠です。日本には多くの木造住宅があり、高度経済成長期に建てられた住宅が築年数を重ねる中で、古い住宅ストックの利活用が社会的にも重要な課題として認識されるようになってきています。
古くなった木造家屋に対しては、取壊して建て替えるという選択肢もありますが、リノベーションすることで費用を大幅に抑えながら、愛着のある家に住み続けることが可能です。思い出の詰まった我が家を残しながら、現代の暮らしに合った快適な住環境を実現できるのがリノベーションの大きな魅力といえるでしょう。
そこで今回は、木造家屋の平均寿命を踏まえた上で、リノベーションでできることや、そのメリット、さらに注意点について詳しくご紹介します。
木造家屋の平均寿命と長寿命化の傾向
国土交通省の「【指針参考資料5】建物の平均寿命について」によると、木造家屋の平均寿命は約65年であるとされています。過去のデータと比較すると、かつては約43年の平均寿命でしたが、2006年の調査では約54年、2011年の調査では65年と、年々その寿命が伸びていることが分かります。
この寿命の延伸には、建築技術の向上、建材の品質改善、そして住宅所有者の適切なメンテナンス意識の高まりなどが影響していると考えられます。定期的な点検や補修を行うことで、木造住宅はさらに長く快適に住める可能性を秘めています。
木造家屋が劣化する主な原因
木造家屋が劣化する主な原因には、腐朽菌やシロアリによる被害が挙げられます。腐朽菌が木造家屋に繁殖すると、カビも繁殖しやすくなります。さらに、カビが発生した湿気の多い環境は、シロアリが好む条件でもあるため、これらの被害が連鎖的に発生するリスクが高まります。
特に床下や壁の内部など、日常的に目に触れない部分で被害が進行することが多いため、定期的な点検が重要です。湿気がこもりやすい場所や、雨漏りが発生している箇所は特に注意が必要です。
木造家屋の寿命を伸ばすための対策
木造家屋の寿命を伸ばすためには、予防的なメンテナンスが効果的です。具体的には、外壁や屋根の塗装を定期的に行うことで、雨漏りや木材の腐食を予防することができます。また、古くなった給排水管設備の交換や、水回り設備の定期的なメンテナンスも重要です。
さらに、床下の換気を良好に保つことや、シロアリの定期点検を実施することも、木造住宅を長持ちさせるために有効な対策といえます。こうした日常的なケアの積み重ねが、住宅の寿命を大きく左右するのです。

木造家屋のリノベーションでできること
木造家屋のリノベーションでは、さまざまな改修が可能です。ここでは主な3つの改修内容について詳しくご紹介します。
1. 間取りや設備の変更
長年住んでいると、家族構成やライフスタイルの変化によって住みにくさを感じることもあるでしょう。子どもが独立して部屋が余ってしまったり、在宅勤務が増えてワークスペースが必要になったりと、住まいに求める機能は時代とともに変化します。
リノベーションによって、住む人に合わせた間取りに変えることが可能です。例えば以下のようなリノベーションが挙げられます。
①和室から洋室に変更し、現代的な生活スタイルに合わせる
②リビング横の和室をLDKに取り込んで広々とした開放的な空間をつくる
③骨組みだけを残して間取りを一新し、まったく新しい住空間を実現する
④水回り設備をまとめて配置し、家事動線を効率化する
⑤トイレを増設し、朝の混雑を解消する
⑥壁を取り払ってオープンな空間にする、または逆に間仕切りを増やしてプライバシーを確保する
このように、現在のライフスタイルに合わせた柔軟な間取り変更が可能なのがリノベーションの大きな魅力です。
2. 耐震補強
現行の耐震基準を満たしていない木造家屋や、過去に浸水被害に遭ったことがあるなど、耐震性に不安がある場合は、リノベーションによって家屋の耐震性をアップさせることも可能です。
耐震補強工事には、壁や基礎の補強、屋根や外壁の軽量化、土台や柱などの構造部の接合部分への金物の取付など、さまざまな手法があります。家の構造や形状、地盤の状態などを総合的に考慮して、その家屋に最も適した手法を選択する必要があります。
特に1981年以前に建てられた住宅は、旧耐震基準で建てられているため、現行基準を満たしていない可能性が高く、大地震に対する備えとして耐震補強を検討することが強く推奨されます。
耐震補強が目的のリノベーションでは、自治体によっては助成制度を受けられることがあります。さらに、条件を満たすことで、所得税の控除や固定資産税の減額などの税制優遇を受けられる可能性もあります。お住まいの自治体に問い合わせて、利用可能な支援制度を確認してみることをおすすめします。
3. バリアフリー化
高齢になってからも安心・安全に暮らせるように、リノベーションでバリアフリー化することも可能です。日本は超高齢社会を迎えており、将来を見据えた住環境の整備が重要になっています。
具体的には、玄関アプローチや室内の段差をなくす工事、廊下やトイレ、浴室への手すりの設置、車いすに対応した広さの確保や引き戸への変更などが挙げられます。こうした改修により、高齢者や体が不自由な人も安心して暮らせる住まいになります。
また、将来的に介護が必要になった場合を想定して、介護者が動きやすい動線設計や、介護ベッドが入るスペースの確保なども検討すると良いでしょう。
バリアフリー対応のためのリノベーションをする場合、介護保険の補助金や各自治体による補助金制度を利用できる可能性があります。条件を満たすと税制優遇を受けられる可能性もあるため、工事前に自治体の窓口や専門家に相談し、確認してみることをおすすめします。
木造住宅をリノベーションする際に注意すべきこと
木造住宅をリノベーションする際には、次のような点に注意しましょう。事前に把握しておくことで、計画がスムーズに進み、後悔のないリノベーションが実現できます。
1. 希望の間取り変更ができない場合がある
建物の構造によって、室内に建物を支える柱や耐力壁があるケースがあります。これらは建物の構造上重要な役割を担っているため、柱や壁、もしくは壁内部の筋交いは撤去できません。
そういったケースでは間取り変更が制限されることもあるため、注意が必要です。特に在来工法の木造住宅では比較的自由度が高いですが、ツーバイフォー工法などの場合は制約が多くなる傾向があります。
しかし、施工会社やプロに相談すると、耐久性などの躯体の強度を保ちながら理想の住まいをつくる提案をしてもらえるでしょう。構造計算を行い、必要に応じて補強を加えることで、希望に近い間取りを実現できる可能性もあります。
2. 電気や水道の工事が必要になる場合がある
「キッチンやお風呂などの水回りを改装したい」という方も多いでしょう。水回りは特に、目に見える部分の工事だけではなく、給水・排水管などの見えない部分の工事も必要になることがあります。
経年劣化した排水管や給水管は、そのままにすると漏水のトラブルにもなりかねません。特に築年数が古い住宅では、配管の素材が現在使用されていないものである可能性もあり、部分的な交換が難しい場合もあります。
リノベーションする際に配管を刷新しておくと、将来的なトラブルを防ぎ、安心して暮らせます。また、電気配線についても、容量不足や老朽化が見られる場合は、同時に更新することをおすすめします。
3. 耐震性の確認が必要
古い木造住宅の場合、ホームインスペクション(住宅診断)と合わせて耐震診断を行うとさらに安心です。柱や梁などの腐朽やシロアリ被害などにより、建物の強度に問題が発生していないかをリノベーションする前に確認するようにしましょう。
専門家による詳細な調査によって、見えない部分の劣化状況や構造的な問題点を把握することができます。補強工事が必要と判断された場合は、リノベーション工事と合わせて実施することで、工事の効率化とコスト削減が図れます。
木造住宅をリノベーションした事例
実際の事例を通じて、リノベーションの可能性を見ていきましょう。
リノベーションで生まれ変わった築35年の木造住宅
この事例では、35年前に建築士に依頼され、建てられた注文住宅で、解体が進むにつれて上質な素材がふんだんに使用されていることや、丁寧な仕事ぶりがあらわになってきました。
以前の間取りでは見ることのできなかった大きな梁を天井を上げてあえて見せることで、開放的な空間になり古い愛着のあるものと新しいものが融合した空間になっています。
無垢の床と漆喰の壁で仕上げたリビングは、時を経てお部屋の主役となった大きな梁と馴染み、温かみのある奥ゆかしい雰囲気となっています。
小柄な奥様に合わせて高さを調整したキッチンも開放的ななリビングと緩やかに繋がり落ち着いた印象になりました。

まとめ
木造住宅も適切なメンテナンスを行うことで、長く安心して住むことができます。定期的な点検や補修、そして必要に応じた改修工事を行うことで、住宅の寿命を延ばし、快適な住環境を維持することが可能です。
さらに、リノベーションすることでライフスタイルに合わせた間取りの変更や、耐震性の向上、バリアフリー化、そして洗練された外観への変更など、さまざまな可能性が広がります。建て替えに比べて費用を抑えられる上、愛着のある家をそのまま活かせるという大きなメリットもあります。
建て替えるかどうかを迷う人もいると思いますが、まずはホームインスペクションなどを活用して住宅の現状を正確に把握し、専門家のアドバイスを受けながら、リノベーションも選択肢のひとつとして前向きに検討してみてください。
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