2023.08.07
リノベーション

珪藻土の壁について。メリット・デメリットを解説

調湿・消臭効果が期待できる壁材として、近年多くの家の壁に取り入れられている珪藻土。珪藻土は古くから七輪などの素材としても使われてきた、日本人には馴染みのある素材です。しかし、実際に珪藻土がどのような素材なのか、イマイチ理解できていないという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、珪藻土の特徴やメリット・デメリットを徹底解説。珪藻土壁にリノベーションする場合の費用相場についてもお伝えしていきます。

 

自然素材の珪藻土

初めに「珪藻土とはどのような素材なのか」という点について解説していきましょう。建材として使われるものには化学的に合成された素材も多いですが、珪藻土は天然由来のものを原料とする自然素材です。

「珪藻」とは、その名の通り藻類の一種。淡水・海水関係なく水中に広く分布しており、一生を終えると死骸の殻部分だけが水底に蓄積していきます。この殻が積み重なって化石化したものこそ珪藻土なのです。

珪藻土の主成分は二酸化ケイ素(SiO2)という物質。二酸化ケイ素は別名「シリカ」とも呼ばれ、乾燥剤として用いられる「シリカゲル」の原料としても知られます。乾燥剤として使われるだけあって、珪藻土は高い吸湿性・吸水性を誇る素材であり、夏は高温多湿になる日本の住宅における建材として高い機能性を誇っているのです。

珪藻土はもともと乾燥した粉末状の素材ですので、水で練って粘土状にした上で壁に塗っていきます。なお、最初から適正な水分量で練ってある練り済みの珪藻土も販売されています。

 

珪藻土ならではのメリット

珪藻土は、古くから建材や七輪などの原料として使われてきたというお話をしました。長く利用されてきたのは、次に挙げるようなメリットがあるからです。

 

調湿性に優れている

珪藻土の代表的なメリットと言えるのが、高い調湿性を持っているという点。調湿性とはジメジメとした環境では湿気を吸収し、乾燥している環境では湿気を放出することにより、室内の湿度を一定に保とうとする働きのことです。

珪藻土は多孔質と呼ばれ、内部に細かな穴が大量に開いています。その数は活性炭の数千倍とも呼ばれ、一つひとつの穴が呼吸するような形で湿気を吸収・放出するというわけなのです。吸水性にも優れているため、水が直接かかるバスマットやコースターの素材としてもおなじみですね。

 

消臭効果が見込める

多孔質の珪藻土は、湿気だけでなく臭いの元となる成分も吸着してくれます。そのため、タバコや調理したときの臭いなどを和らげてくれる消臭効果も見込めるのです。

 

断熱性や吸音性がある

穴がたくさん開いているという特徴は、他にも多くのメリットをもたらしてくれます。例えば、穴の中には空気が満たされていて層のような役割を果たすため、高い断熱効果が見込めるでしょう。また、表面に無数の穴が開いているというのは吸音ボードと同様の作りと考えられますので、吸音性にも優れているのです。

 

耐火性が高く、万が一燃えても有毒ガスが発生しない

二酸化ケイ素という無機質が主成分の珪藻土は、火事でも燃えにくいというのも大きなメリット。天然素材なので、万が一燃えてしまっても有毒ガスが発生しないので安心です。

 

シックハウス症候群を引き起こしにくい

家の新築やリノベーションを考えていると、シックハウス症候群が気になるという人もいるかもしれません。シックハウス症候群とは、建材に用いられている化学成分から発生する有毒物質やダニ・カビによって引き起こされる健康障害のこと。

珪藻土は天然素材であることに加え、高い調湿性によってダニやカビの発生を抑えるため、シックハウス症候群を引き起こしにくい素材と言えるでしょう。

 

ここは気を付けたい!珪藻土のデメリット

珪藻土にはたくさんのメリットがあることがおわかりいただけたかと思いますが、反対にデメリットもあります。続いては、珪藻土壁を検討する際に注意したいデメリットを見ていきましょう。

 

ぼろぼろと粉が落ちやすく、ひび割れが生じやすい

珪藻土壁はざらざらした仕上がりが特徴なのですが、その分ボロボロと粉が落ちやすいというのが難点。季節の変化や地震などによって下地材がズレるとひび割れが生じやすいという点もデメリットです。軽いひび割れであればDIYでも補修可能ですが、深いひび割れが入ってしまうと左官職人に依頼するしかありません。メンテナンス性という点で考えると、他素材の方が優れていると言えます。

 

液体をこぼすとシミになりやすい

珪藻土は吸水性が高い分、水分を含んだ汚れが付着するとシミになりやすいという問題もあります。表面を拭き取るというわけにもいかないので、水や汚れが飛び散りやすい水回りには向いていません。

 

つなぎ材のバランスによって調湿性能が制限される

珪藻土は水で練って使用するとご紹介しましたが、粉を水で練っただけでは十分な粘度にはなりません。壁材として使用するには、つなぎ材を混ぜる必要があるのです。しかし、つなぎ材のバランスを間違えると珪藻土が持つ調湿機能を邪魔してしまう可能性があるため、つなぎ材の素材や量に気を配る必要があります。

 

壁紙よりもコストが高くなる

一般的な壁紙クロスに比べ、珪藻土壁は職人が手作業で丁寧に塗っていくため、施工コストがどうしても高くなってしまいます。DIYする場合は当然相場が下がりますが、それなりの手間を覚悟しなくてはなりません。

 

まとめ

今回は、壁材として広く用いられる珪藻土の特徴やメリット・デメリットについてご紹介してきました。自然素材である珪藻土は、体に優しく家の環境を向上させてくれる壁材です。少しコストは高めですが、長く快適に暮らせる住まいを実現するために導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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