マンションリノベーションの内装仕上げとして人気の「躯体現し(コンクリート現し)」
なんとなくリノベーションといえばコンクリートを現しにするイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
リノベーションで躯体表しにすることで、どのような空間が実現できるのか、また躯体現しにするメリット・デメリット、注意点などを踏まえた上で施工事例を紹介していきます。
そもそも、躯体現しとは?
分譲マンションの構造は、主にRC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)です。
躯体とは建物の構造体をいい、RC造やSRC造の場合はコンクリートでできたスラブや梁、柱、壁を指します。
スラブとは構造用床のことで、天井スラブとも床スラブとも呼ばれますが、これは階下の天井が上の階の床となっているためです。
RC造やSRC造にはラーメン構造と壁式構造という種類があり、マンションで躯体の壁である耐力壁となっている部分には違いがあります。
ラーメン構造は柱や梁で支える構造で、耐力壁となっている壁は、外部に面している壁や隣戸との間の界壁です。
一方、低層マンションの一部にみられる壁式構造の場合、壁で支える構造のため、外部に面している壁や界壁のほか、専有部分内の一部の壁も耐力壁となっています。
躯体現しとは、コンクリートでできた天井スラブや梁、柱、壁に、プラスターボードを貼ったり、仕上げのクロス貼りや塗装などを行ったりせず、剥き出しの状態にすることをいいます。
マンションのリノベーションで躯体現しにできるのは、コンクリートの躯体がある部分です。実際のマンションのリノベーションでは、リビングなどの天井を躯体現しにするケースが多いです。
天井と一部の壁を躯体現しにする、梁のみを躯体現しにしてアクセントにするといった取り入れ方もあります。
躯体現しの注意点
なんとなくおしゃれなイメージのある躯体現しですが、リノベーションでは避けるべき壁などもあります。
また、躯体の状態によってはイメージと大きく異なる可能性もあります。
リノベーションで躯体現しにする場合の注意点をまとめました。
●外壁部分の壁や最上階の天井は躯体現しに向いていない
外部に面した壁は、一般的に躯体に断熱材を吹き付けてプラスターボードを貼り、クロスなどで仕上げることで、外気の温度の影響を受けにくくしています。ところが、プラスターボードとともに断熱材を撤去して躯体現しにしてしまうと、室内が外気の温度の影響を受けやすくなります。そのため、冬場は外部の冷気が室内に伝わりやすく寒いうえに、室内との温度差から結露が起きやすいです。また、夏場は熱気が伝わりやすく、サウナ状態になることが懸念されます。
また、昨今ではマンションの最上階は外断熱にすることが一般的ですが、古いマンションでは天井裏で断熱材が施工されているため、躯体現しにできないことがあります。
つまり、躯体の部分であっても、断熱施工がされている箇所は躯体現しにするのは避けるべきという考えもあります。
●ダクトや配線が露出になる
天井を躯体現しにすると、天井裏を通っている換気ダクトや電気配線が露出することになることを踏まえ置くことが必要です。
換気ダクトはそのまま露出してもスタイリッシュに見えますが、電気配線はコンクリートとデザイン的に相性のよい、鉄管を通すのが一般的です。ダクトレールを使って照明器具を設置するケースが多く見受けられます。
ダウンライトは天井への埋め込み式の器具のため、天井を躯体現しにすると設置することはできません。
天井の配線がすっきり見えるような照明計画を立てることが大切です。
また、廊下だけはダウンライトにすることで、配線がうまく隠せる可能性もあります。
●防塵塗装が必要
リノベーションで躯体現しにする場合、天井に坊塵塗装を行うことでホコリなどが落ちてくるのを防ぐことができます。
坊塵塗装はクリア塗装のため、コンクリートの風合いを損なわずに済みます。
●パテ処理の跡や墨出しの線などが残ることがある
もともと、躯体現しでつくられたマンションと異なり、リノベーションで躯体現しにすると、プラスターボードやクロスなどで隠れる状態であったコンクリートの天井や壁、梁や柱などが、見える状態になります。
そのため、コンクリートの表面が凸凹していて、きれいな仕上がりではないことは少なくありません。
また、工事に必要な基準となる線を直接躯体に記す墨出しの線が残っていたりすることがあります。
あるいは、プラスターボードを剥がしたボンドの跡や、直接、躯体に壁紙を貼っている場合のパテ処理の跡が残るケースも見受けられます。
そのため、躯体現しにすると、コンクリートの表面がきれいな状態ではない可能性があることに留意しておきましょう。
とはいえ、こうした躯体現しならではの状態は程度にもよりますが、むしろラフで味があり、コンクリートの表情として楽しむといった考え方もできます。
また、照明器具を取り付けたりすると、さほど気にならなったりすることもあります。
ただし、解体して躯体が見える状態にすると、コンクリートにひび割れが生じていた場合には、安全性に問題があることが考えられます。
リノベーション会社に相談するとともに、管理組合に報告することが必要です。
●躯体表しの「塗装仕上げ」という選択肢もある
躯体表しでコンクリートの表面の状態が気になる場合は、塗装仕上げにすることも選択肢の一つです。
躯体表しの塗装仕上げにした場合、ボンドの跡やパテ処理の跡は消えますが、表面の凸凹は残るため、コンクリートの質感は感じられます。
躯体現し以外の部分も含めて塗装すると、一体感のある空間になります。また、白く塗装した場合には、開放感が感じられ、空間が広く見えるといった点もメリットです。
躯体現しのメリットについて
リノベーションで躯体現しにすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。デザインや空間の印象の面などからまとめました。
●デザイン性が高い
躯体現しの魅力はなんといってもデザイン性が高く、リノベーションならではの雰囲気が見えることです。
コンクリートの躯体や木や金属、石といった異素材との相性もよく、スタイリッシュな空間を実現できます。
空間の中で躯体表しの占める割合や塗装の有無によって、マッチするインテリアスタイルには違いがあります。
●天井が高くなることも
マンションの住宅では、天井や床の仕上げは
「直床(じかゆか)・直天井」と「二重床・二重天井」の2つのタイプがあります。
直床・直天井仕上げの場合は、床や天井は躯体に直接下地材を張り、その上から石膏ボードやクロスを張って仕上げています。
床・天井と躯体の間に空間がないので天井高が高くなります。
その代わり、電気配線や水回りの配管を通す場所は別に確保しなければなりません。天井の一部に別途配管用の梁(梁型)を設けて、その中に配線、配管類をまとめているケースが多いです。
二重床・二重天井は、躯体にまずフローリングなどを張るための土台となる床や天井を組み、その上から仕上げ材を施工するパターンです。
床・天井と躯体の間に空間ができるため、中に配線・配管類を通すことができます。直床・直天井よりも天井高は低くなりますが、部屋全体がすっきりと見えます。
つまり、二重床や二重天井の場合は、躯体現しにすると現在の天井高よりも高くなることになります。そのため、リノベーション前よりも室内に開放感が出ます。
●リノベーション費用を抑えられる場合がある
また、リノベーション費用を抑えられる場合があるのも躯体表しのメリットの一つです。
壁や天井、梁など躯体部分の一般的なリノベーションでは、元々貼られているクロスを剥がして、新たにクロスを貼ります。
しかし躯体表しのリノベーションでは、下地を整えたりクロスを張る必要がないので、その分の費用が抑えられます。
ただし、天井がもともと二重天井になっていて躯体表しにする場合は、内装天井を解体する必要があります。
そのため、単にクロスを張り替える場合よりも費用が高くなる場合があります。
躯体現しのデメリットについて
続いて、躯体現しのデメリットをお伝えします。
●音が気になる場合がある
躯体現しをした住宅では音が気になる場合があります。
躯体現しにすると、断熱材やボードなどがないため、隣家や上階と隔てるものが躯体のみになるからです。
天井の躯体現しをすると、躯体現しをしない場合と比べて上の階の足音や生活音がダイレクトに伝わります。自分が周りの音が気になりやすくなるだけではなく、自分の生活音や足音も周りに伝わりやすくなることも考えられるので注意が必要です。
そのほか配管を流れる水の音が気になるという場合もあるようです。
躯体現しをする場合は、防音効果が低くなり、音が気になる場合があることを想定しておきましょう。
●解体するまでコンクリートの躯体の状態がわからない
躯体現しにすることを決めて、いざ解体してみると想像していたようなコンクリートの躯体がでてくるとは限りません。
錆びたクギが出てきたり、取り払った壁紙のボンドの跡がなかなかとれなかったり…なんてこともよくあります。
躯体現しにしてみたら、自分が思っていたようばコンクリートの表情ではなかったということは十分考えられるので、それも含めて楽しむ気持ちで躯体現しにした方がいいでしょう。
躯体現しのリノベーション事例
●ギャラリー風のアーティストの家
コンクリート打ちっぱなしの天井や壁、ステンレスのキッチンなどクールでドライな質感の中に、ご主人のアート作品が並ぶことで、まるでギャラリーのようなおうちを目指した物件。
白い壁とドアや室内窓、ヴィンテージ風のフローリングが無機質の中にあたたかさをプラスして、個性的な内装に仕上がっています。
●少しだけコンクリートの躯体現しの天井でインテリアにアクセント
躯体現しとホワイトの壁紙で組み合わせたLDK。
もともとの下がり天井を利用して、ちょうどいい異素材のアクセントになりました。
さいごに
躯体現しは、RC造の特徴を生かしたマンションリノベーションならではの個性的な手法です。
ただし、どの部分でもあらわしにできるとは限らないということ、想像していたような躯体がでてくるとは限らないことは知っておきましょう。
物件の工法や状態によってそれぞれ注意すべきポイントがありますので、リノベーションの施工会社としっかり相談しながらプランを決めましょう。
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