2023.07.15
不動産

ホームインスペクションとは?中古住宅を購入するときに知っておきたいポイント

中古住宅、とくに戸建てを検討している際には、一度聞いたことがあるような言葉、「ホームインスペクション」についてご紹介させて頂きます。

「ホームインスペクション」って何??
「ホームインスペクション」はやった方がいいの?
言葉が難しそうでどうしたらよいかわからない…

そんな疑問をお持ちの方に、ご参考になればと思います。

ホームインスペクションってなに?

はじめに、ホームインスペクションについてご説明します。
漢字で表現する場合は「住宅診断」と表現されます。売主でも買主でもない第三者である「住宅診断士(ホームインスペクター)」が、建物の状況を検査します。(施工状況・劣化状況など)
1970年代のアメリカが発祥といわれており、アメリカでは広く普及している取り組みです。日本でも2000年代から、各民間業者が同様のサービスを提供し始め、近年広まってきています。
「建物現況調査」とも呼ばれることがあります。

なお、似たような言葉に「建物状況調査」という言葉があります。

 

国土交通省の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査

(参照・引用 国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について」)

 

と定めらています。不動産取引の視点からみると、上記の建物の状況については「重要事項説明」の説明内容にも含まれている他、2018年からは調査結果(調査しているか、していないかの有無含めて)についても「重要事項説明」において説明する義務として定められました。

以上のような似たような言葉でも

●誰が検査するのか
●どのような検査項目が含まれているのか

によって、不動産取引上の位置づけがことなることに注意したいですね。

ホームインスペクションを行うメリット・デメリット

●ホームインスペクションを行うメリットについて

メリット① 建物の状況を把握することで安心して物件の取引ができる

中古住宅を売却する時、もしくは購入するときに、ホームインスペクションや建物状況調査の実施有無は非常に重要なポイントとなります。
建物の劣化具合や傾き、シロアリの被害など、生活する上での重要な点は必ず確認しておきたいところです。
売主の立場でも、取引後のトラブルを防止するためにも、あらかじめ建物の状態をお伝えした上で、売却することを推奨しております。

メリット② インスペクションの結果に合わせて工事の計画ができる

物件の購入前に、ホームインスペクションや建物状況調査の結果がある場合は、その結果にあわせて工事計画を立てることができます。

例えば、外壁から劣化が見られるときは、引き渡し後に外壁工事を計画します。せっかく外壁をメンテナンスするために足場を建てるので、あわせて屋根や、サッシの交換なども一緒に行うと効率が良いと思います。などのご提案も可能です。
物件本体の価格に加えて、メンテナンスの費用についても物件検討の際には気を付けたいポイントです。

メリット③ メンテナンスをすることで建物の価値を維持

物件の売買時以外にも活用することができます。例えば、10年ごとに定期的に調査を入れて劣化の見つかったところを中心に修繕していく。
そしてその履歴を残しておくと、次に売却する際、安心して購入頂くことができます。

ホームインスペクションを行うデメリットについて

基本的にデメリットはあまりありませんが、下記気をつけておきたい点になります。

調査を依頼するのに費用がかかる
調査をする場合、どうしても費用がかかってしまいます。不動産を購入する際、たとえば売主様が調査をしている場合は、その調査結果を確認すれば良いのですが、
調査をしていない場合は、自費にて調査をすることになります。調査結果によっては購入を見送る、ということもあるので注意が必要です。

費用についてはおおよそですが

調査:6万円〜
オプション:1万円〜

あたりが価格帯としては多いです。

追加可能なオプションや、建物の面積などにより上下いたしますので、ご不明な場合は一度、ご相談ください。

売却の際にネックになってしまう
建物を売却をする立場の場合、調査結果で劣化の報告があった内容については、それを買主さまにお伝えしないといけません。
劣化内容によっては修復に費用がかかるため、物件の販売価格を下げてほしいと交渉があることも考えられます。

契約したときの建物状況と、引渡し後の建物の状況が異なる場合、引き渡し後に売主側に費用が発生することがあります(後から雨漏れがみつかった、壁を壊したら柱が腐食していた等)。
「契約不適合免責」を条件に、支払いが発生しないようにする場合もありますが、引き渡し後のトラブルを防止するためにも、事前にホームインスペクション等で劣化状況を明示することをおすすめしております。

ホームインスペクションとリノベーションの関係

CASE.1 外壁のシールが劣化していた・・・

外壁の仕上げ材同士の継ぎ目や、窓枠の周りには、雨水の侵入を防止するシーリング材が施工されています。そのシーリング材が経年劣化を起こしていると、その部分から雨水の侵入が発生することがあります。
→劣化の程度が大きい場合は、シーリングの打ちなおしを検討しましょう。ただ、部分的な補修も可能ですが、全面的に行う場合は、足場の設置が必要になることが多いです。
その場合は、外壁の塗装などをあわせて検討すると、足場を都度設置せずに済むので経済的です。

CASE.2 床の傾きが見つかった・・・

調査結果によっては床の傾きが規定値以上の場合がございます(中古住宅の場合、6/1000㎜未満が許容範囲と言われております)。床の傾きは健康状態にも繋がることがあるので、可能な範囲で入居前に是正することをご推奨します。

ただ、地盤の変動等により基礎から傾いている場合、その基礎含め、傾きを是正するとなると、かなり大掛かりな工事になってしまいます。

そこで、リノベーションを行う場合で検討される方法が根太の組みなおしです。フローリングの貼替えや、給水給湯管の交換、床下の断熱交換を検討される場合は、必要な範囲の床を剥がす必要があるため、その工事にあわせて根太(フローリングの下、床組みにあたる部分です)をやり直すことで、傾きを解消する方法がございます。

CASE.3 断熱材が不足していた・・・

床下や屋根裏の状況が確認できた場合は、断熱材の状態も報告があります。古い建物ですと、現在の標準的な機能、もしくは範囲で断熱材が施工されていない場合があります。

また、新築時に断熱材が施行されていても、経年で劣化や、場合によっては剥がれてしまっていることもあります。

断熱は日常の住環境・快適性に大きく影響しますので、そのような劣化の報告が見つかった場合は、リノベーション工事にあわせた修補がおススメです。

上記の例のように、床下の場合はフローリングを交換する際に、壁の断熱は浴室や内装をやりかえる際に、あわせて断熱材を見直すと経済的になります。

以上のように、ホームインスペクションや建物状況調査は、リノベーションの計画をする上で、優先度を判断するための、とても参考になる情報が記載されています。

決して安くないリノベーションの工事だからこそ、建物の状態をよく調べた上で、後戻りや二度手間が発生しないよう、計画したいですね。

安心した住まいづくりを計画するために

以上、ホームインスペクションや建物状況調査についてご紹介させて頂きました。ただでさえ一生の内でもっとも高い買い物の一つ、不動産購入やリノベーション。
少しでも費用を抑えたいところで見落とされがちですが、ご紹介させて頂いたように、ホームインスペクションや建物状況調査にはメリットが多くあります。
10年、15年先のことを踏まえて、リノベーションの機会に、あわせてインスペクションを実施してみては如何でしょうか。

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